何を回収したいのか。

昨日ちょっと話題になった記事。
『Kindle本の表紙作成に関するアイデアとヒント「勝利の鍵はサムネイルだ!!」』
表紙大事、という内容でもっともな話…なんだけど
「2万円を著者さんが回収するのは大変」に関して。
以前からKDP個人作家の中には、こんな料金じゃイラスト・デザインを依頼できない、回収できない、などと公言しているひとがいて違和感、というか嫌悪感をもっていた。
モノとしての本じゃない。データ販売だ。
一冊一冊に紙印刷代など原価コストなんてない。配信コストも必要ない。データは劣化しない。在庫リスクもない。書店で販売期間が切られるわけじゃない。
いったいどこをどうしたら「回収する」なんて発想が出てくるのか。
自分の書いたものに関しては、売れただの売れないだの、儲かっただの、買ってくれてありがとうございます、評価いただきました、と一喜一憂してはツイッタなどで公言して大騒ぎ。
その一方で、自分が支払う・支払ってしかるべきデザイナーやイラストレーターへの対価を高い、回収できないと公言する。デザイナーやイラストレーターは本を売るための道具じゃない。彼らの創作に対する敬意すら感じられない。
自分は評価して欲しい、だけど他人は評価しない、ということ。
「下品」のひとことだろう。
同じ個人作家でも、少なくとも、紙印刷代など計算して赤字にならないように定価をつけて、ということをやってる同人誌のサークル連中の方が「依頼すること」に関して、よっぽど気をつかってる。そもそも、根っこに、このひとに原稿を頼みたい、好きだから頼みたいという情熱・共感みたいなものがあって、相手に対する敬意がちゃんとある(わたしの観測範囲)
もちろん、みんながみんなというわけではないけど。KDP、ネットに蔓延するノーリスペクトで不神経な言葉にはげんなり。だ。
[09/20 22:00:38]
野暮を承知で追記。
反応いただいてるのを見ると、
・「回収がおかしいってことは儲けちゃいけないということなのか、敬意という霞だけ食ってろというのか」というのが散見されるけど、ぜんぜん逆。
創作に対する評価をちゃんとしてもらおう、創作で食えない状況を何とかしないとだめだ、と思ってる。
なのに、創作者である個人作家がみずから他者の創作をないがしろにするようなことを公言してると、そのうち自分に返ってくるんじゃないか、ということ。それこそ自分たちでデフレスパイラルを演出してどうすんだろう。
・「回収」という言葉に対する反応も、普通に使う言葉なのに何をいってるんだ、と。
いやいや、文脈というのがあるだろう。
想像力の欠如。
デザイナーやイラストレーターにそんな金払ったら回収できない、などと公言してるのを、デザイナーさんが見たらどう感じるのか、自分が言われたらどう思うのか、という簡単な話。
んでもって、回収という言葉は普通に使われる言葉かもしれないけど、データ販売のどこに回収ポイントがあるのかを示してもらいたい。物販じゃない。データ販売のどこにどの期間で回収する必要があるんだ?個人が。
物販のコストやリスクをそのままデータ販売にあてはめようとしても無理があるってことはわかってるんだろうか。
それとは別だけど、企業や製品をないがしろにする発言と違って、ネットで繋がるのは個人同士になるので、ちょっと無邪気すぎるような気がした。
ついでに。この雑記帖で、何かを議論しようとか問題解決のための提起をしようとか、まったく考えていない。あしからず。
[更新]2026-02-01 13:06:54
kindle本のレンタルが始まっていた

「kindle オーナーライブラリ」というのがあって。
・読者側
kindle端末を持っている・Amazonプライム会員であるの2つの条件を満たしていれば、月に一冊(プライム印のついた)kindle本が無料でレンタルして読める。
月に一冊というのがよくわからない。
読者は、好きな本を何回でも借りることができます(借りられるのは一度に1冊、1か月に1冊のみです)。ただし、有効な貸出回数としてカウントされるのは、Amazonプライム会員が初めて本を借りる場合に限ります。たとえば、プライム会員の読者が初めて本を借りると、有効な貸出回数としてカウントされますが、同じ読者が後から再び同じ本を借りても、その2回目の(それ以降も同様)貸出は有効な貸出回数としてカウントされません。
You can borrow only one book at a time.
If you’ve already borrowed a book,
you’ll be prompted to return it
before you can borrow a different book.
日本のAmazonとアメリカAmazonのヘルプを引用してみた。
1)月に1冊無料レンタルで読むことが出来る
2)あるタイトルを借りていて、別のタイトルを借りるにはすでに借りているタイトルを返却する必要がある
3)有効な貸出し回数?
2がザルにならないように、3の有効貸出し回数というのを設定してあるのかな。
たとえば、家人など小説を月に4〜6冊程度は読む。ちゃっちゃと読んじゃって次レンタル、なんてやりだすと、月1冊=月1タイトルじゃなくて、月1冊=月5タイトル。漫画だったらもっと早い。
そのための有効回数の設定かあ、ふーん、と思って探してるんだけど、有効貸出し回数って、どこに書いてある? これはもしかして月1冊=有効貸出回数1回てことか。
一度借りた本は有効貸出回数にカウントしないということは、初めて読む本は月に1冊だけ。再読するのは月に何度でも返却・レンタルを繰り返して読むことができる、という理解でいいか(あとで実際に試してみりゃいいだけの話)
[08/23 09:18:41] 追記。
日本のヘルプはKDPのヘルプ=貸出し側に対する説明なので、解釈が違うな。
「貸出し回数」というのは出版側が読者に本を貸した回数、DL回数ということか。ある本がある読者に読まれた場合、1DLのカウントということで、同じ本が同じ読者にDLされてもカウントされない、ということっぽい。
(プライム会員アカウントと、kindle端末ID、本のコード(ASIN?)で紐づけられて管理される、イメージかな)
読者側が借りられるのはあくまで月に1回ということらしい。
・出版側
KDPセレクトというプログラムに参加して本を提出すれば、レンタル本に混ぜてくれる。
『kindle本のレンタル・無料キャンペーン』 (2012/12/4)
プライム会員数がどのぐらいいるのか不明なのでよくわからないけど、無料レンタルで読んでもらえるならそれはありがたい話(月一冊の椅子取りゲームになるかもだけどね)
作家、作品の認知度UPに多少なりとも繋がってくれればそれに越したことはない。小さなことからコツコツと、だ。
また、KDPセレクトグローバル基金(=Amazonが準備してくれる大きな丼)から、ダウンロード数に応じて分配金がはいってくる、かもしれない(Amazonの事務手続きは意外に大雑把というかなんというか、アレな感じだけど)
※ ちなみに、Amazonに限らず、サービス内容や規約は変更されることがあるので、この記事も、今日時点での話。
※ twitterで、kindleオーナーライブラリが始まったよ!というのを見かけたのは21日未明だった。
https://twitter.com/sdfg158/status/369875574702882816
ウチの本もほとんどKDPセレクトに参加してるのでよろしくお願いします!
[更新]2026-02-01 13:07:28
モリサワMCBookからEPUBに

モリサワのMCBookという電子書籍ソリューションパック
http://www.morisawa.co.jp/biz/products/mcbook/
大雑把に、InDesignなどメジャーな組版ソフトで作ったデータを変換、編集してapp storeなどの電子書籍アプリにするもの。
モリサワのフォントが使える、印刷現場・DTPではメジャーなモリサワということで発表当時話題になったのを覚えている。使ってみたい!と思ったら法人契約限定だったのでがっかりした記憶。
ところが iBookstoreオープンでAppStoreのブックカテゴリは、単純な電子書籍アプリは審査が通らなくなってしまった。 『AppStoreの電子書籍アプリは終了』 (2013/3/31)
AppStoreでアプリとして販売していた電子書籍をEPUB3にしてkindleやiBookstore、googleで販売、という流れに。(AppStoreで電子書籍アプリを販売している版元、制作会社はもちろん、電子書籍を作るためのアプリを制作販売しているところもダメージが大きいよなあ)
モリサワのMCBookはEPUBも出力できる。
…んだけど、わたしが預かったデータはEPUBチェックであっさりエラー。バージョンによるかもしれない。こいつをEPUBチェックを通るようにして、目次などナビゲーション文書をつける。
バラして中を見ると、構成は約束通りのEPUBパッケージ。問題が以下の3点。
・toc.ncxがあって、プロパティのnavを指定されているnav.xhtmlがある。ところが、このナビゲーション文書、本文の最初のページが記述されているだけで目次の役に立っていない。
・本文中にエラーになるタグがある。
・スタイルシートでモリサワのフォントが指定されいている。
ナビゲーション文書の作り直し。
content.opfはxmlなので、Data::Dumperで確認して、XML::Simpleで解析。フォルダ構成を見直して、再構築する。(「理解・分解・再構築」(c)鋼の錬金術師) 改めてcontent.opfを作り直して、nav.xhtmlは新規に作成。
XMLの長所・利点というか、こういう標準化された記述方式は、アクセス、理解が早くて助かった。
本文中のエラータグは適当にストリップ。ルビ関係のタグ程度だった。
モリサワのフォント指定は、明朝・ゴチックに太字をまじえてそれっぽく指定しなおし(ビミョーな感じ、というかやっぱり違和感。こればかりはしょうがない)
上記3点を直して、EPUBチェックもValidで通るようにした。
落とし穴だったのがkindlegenで警告。
max-width max-height
column-width -webkit-column-width
の4つのCSSプロパティは対応してないから削除した、と。
なんか見た目、変だよなあと思ってた扉ページや小見出し、画像表示などの部分かな。kindlegenが削除したのはレイアウトがらみのプロパティ。目視チェックで確認しながら、それっぽく指定しなおした。
別の話。AppStoreの件はかなり深刻らしく、廃業・事業変更なんて話まであるらしい…て、それだけAppStoreでの売り上げがよかったってことだなあ
[更新]2013-09-04 20:42:20
kindleの目次が相変わらず。

アクセスログを眺めると、いまだに「kindle 目次」あたりの検索ワードで当サイトへの着地が多い。電子書籍制作に関するノウハウ系はもう収束・終息かと思ってたけど、そうでもないっぽい。
InDesign(今日時点のクラウド版)の吐き出すEPUB3だと目次が使えない、という話を最近聞いて中を見せてもらった。
EPUBチェックではエラーはない。でも、kindlegenでmobiファイルに変換してプレビューワで確認すると「目次」と「最初のページ」が定義されていない。最初のページは(現時点だと)指定がなくてもビューワーが適当適切なページを開いてくれる。でも、目次が指定されていないと、KDPの審査ではねられる(たぶん)
てことで、InDesignが吐き出したEPUB3で、目次を使えるようにした時のメモ書き。
やったことは以下↓
OEBPSフォルダのファイルの中から toc.ncx を削除。
content.opfの
・toc.ncx の記述を削除
・spine の toc=ncx を削除
・spineに、idref=toc (toc.xhtml)を追加
toc.xhtmlに
・landmarksを追加(カバーや目次、本文開始ページなどの指定)
細かいことをいうと。
content.opfのmanifest部
・プロパティのnavを指定されているのは toc.xhtml
…なのに、InDesignの吐き出すEPUBでは、toc.xhtml には目次などを指定するlandmarks部がない=カバーや目次、本文開始がわからない。かといって、toc.ncxがnavに指定されていないのでビューワーは目次がわからない。
目次(ナビゲーション)を使うためには最低限
・content.opfのmanifest部で property に navを指定されたxhtmlファイルが必要。
・navを指定されたxhtmlファイルには目次とランドマークの記述が必要。
この2点。
EPUBチェックに通っても、kindleではねられたんじゃ意味がない。プレビューワーの本の情報をチェックして要確認。
Sigilにしても、InDesignにしても、それなりの評価のあるツールもEPUB2でいいんじゃね?ぐらいにしか考えてないように見える。
日本語の縦書きに対応したのはEPUB3から。欧米の横文字はEPUB2あたりでいいんだろうけど、こっちは困る。なまじ定評のあるツールなだけにそれなりに広く使われていて、いい迷惑だ。
toc.ncxを吐き出すようなツールはとっとと退場してくれ。
[更新]2013-09-04 20:41:56
word→textからルビをタグに

WORDのルビに関する小ネタ。
ワード文書を直接読み込んで、電子書籍・EPUB3に変換するソフトもあるみたいだけど、一度プレーンテキストに吐き出しておいた方が何かと使い勝手がいい・使い回しが効く。ただ、ワード文書をプレーンテキストに保存すると、文字装飾やレイアウト情報がすっ飛んでしまう。テキストなので当然といえば当然。
でも、せめてルビは残したいのが人情というもの。
ワードの文書をプレーンテキストに保存すると、
・般若心経(はんにゃしんぎょう)
・超新星(スーパーノヴア)
てな感じ。ルビ対象の文字に続けて半角のカッコの中にルビが入っている。これをEPUB3というかHTMLのタグに変換したい。
<ruby>般若心経<rt>はんにゃしんぎょう</rt></ruby>
<ruby>超新星<rt>スーパーノヴア</rt></ruby>
以前、何度かこの手のネタで記事に。
『ルビのため perl unicode正規表現』 2013/2/22
『WORD文書(docx)をテキストに』 2013/5/29
このあたりで書いたことは 『EPUB3::かんたん電子書籍作成』 に実装、組み込み済みなんだけど、ルビなどはどこからどこまでがルビ対象なのか・特殊なルビなど、見ながら決めたい。
・東京都千代田区(ちよだく)三崎町
だったら「千代田区」に対してルビがつくし、
・BOZE(ボウズ)バンズ
だったら「BOZE」に対してルビがつく。
ということで、ワードからテキストで保存した場合にエディタで開いて校正しながら
・東京都|千代田区(ちよだく)三崎町
と、ルビの開始位置に半角の「|」を入れておいて、後で一括置換する正規表現が以下。
検索
\|([^\(]+)\(([^\)]+)\)
置換
<ruby>\1<rt>\2</rt></ruby>
置換前
東京都|千代田区(ちよだく)三崎町
置換後
東京都<ruby>千代田区<rt>ちよだく</rt></ruby>三崎町
MacのCotEditorで確認。
WINDOWSのEmEditor や sakuraエディタでもイケるっぽい。→上記の書式中「\」を「¥」に置き換える。
といいつつ。ワードのルビ付き文書を、一太郎に読み込ませてルビ情報がそのまま生きていれば、たぶんそれがワードからEPUB3への一番簡単な方法だと思う
[08/15 14:51:11] 追記。
元ネタ、というか発端はこちら
https://twitter.com/kyozy_tohno/status/367675308977029121
[08/15 18:03:46] 追記。
http://hirakun.blog57.fc2.com/blog-entry-214.html
↑こちらはルビにタグをつけるワードのマクロを作成・公開されてます。
マクロがわかればこっちのが便利だ。感謝!
[更新]2013-09-04 20:41:13

