縦書き電子書籍のための縦中横
青空文庫に限らず、縦書きのEPUB電子書籍を作る時に半角の英数字を縦にするための小ネタが今回のエントリ…なにを今さら、というネタで、縦書き文章で半角英数字の縦中横なんて当然。
それでもネタとして取り上げるのはビミョーに考えることがあって、たぶん、どんなことを縦中横にするのか、どうやってるのかがいろいろあるから。特にWEB経由の文章は半角英数字がてんこ盛り。全部対応するのはやってられないけど。
・一文字の英数字は全角の英数字にして縦表示にしたい。
・数字の3桁以上は縦中横にすると無理矢理感が強い。この場合はそのまま転がしておきたい。
↑このへんがこだわりどころ。
そのために使ってるのが以下のもの
置換する時にゴソゴソする必要があったのでメモ…「1 while〜」のあたり、たぶん5分後には忘れる
・perl
sub _tcy{
my $self = shift;
my $str = shift;
return $str if $str =~ m![0-9][0-9][0-9]+!;
$str =~ s!([a-zA-Z0-9\!\?][a-zA-Z0-9\!\?]+)!sprintf(qq{%s}, $1)!eg;
return $str;
}
sub h2z{
my $self = shift;
my $str = shift;
$str =~ tr/a-zA-Z0-9\!\?/a-zA-Z0-9!?/;
return $str;
}
sub add_tag{
my $self = shift;
my $str = shift;
$str =~ s!^([a-zA-Z0-9\!\?])([^a-zA-Z0-9\!\?])!$self->h2z($1) . $2!e;
$str =~ s!([^a-zA-Z0-9\!\?])([a-zA-Z0-9\!\?])$!$1 . $self->h2z($2)!e;
1 while $str =~ s!([^a-zA-Z0-9\!\?])([a-zA-Z0-9\!\?])([^a-zA-Z0-9\!\?])!$1 . $self->h2z($2) . $3!eg;
$str =~ s!([a-zA-Z0-9\!\?][a-zA-Z0-9\!\?]+)!$self->_tcy($1)!eg;
return $str;
}
・style sheet
.tcy {
-webkit-text-combine: horizontal;
-epub-text-combine: horizontal;
}
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
青空文庫をEPUB3電子書籍に変換
青空文庫の『罪と罰』(ドストエフスキー/米川正夫 訳)をepub3の電子書籍にした。
以前も何回かやってるんだけど、今回、割りと真面目にスクリプトを作ったのでメモしておこう、というエントリ。
青空文庫の資産は膨大だし、なんといっても青空記法が最強だろう。
それに、青空文庫の本を制作する姿勢は見ていて背筋が伸びるほどちゃんとしている。
底本の誤植の指摘、ルビや圏点はもちろん、字下げや地付きといったレイアウトについても底本を忠実に再現している。
「青空文庫」
わたしはmarkdownというかその手のなんちゃら記法には否定的で、そんなものを学習するヒマがあったらhtmlを読み書きできるようにしたほうが早い、と思っている。
それでも青空文庫の青空記法だけは別格で、全角文字で指示を入れる・可読性の優れた書き方、おそらく入力ボランティアさんにとても優しい。全角文字というのがポイントで、これによってプログラム的なタグやなんかとバッティングする心配がない。
これでほぼ表現すべきことを網羅、対応してるんだから改めてびっくりさせられる。
今回作ったのは。
・青空文庫で公開されている本のテキスト版、zipファイルをダウンロード
・ダウンロードしたzipファイルを所定のディレクトリに保存
・書誌情報(タイトルと著者名)を記載したファイルを作成
・カバー画像を作成して所定のフォルダに保存
以上で、あとはスクリプトを叩けば電子書籍の出来上がり、というもの。
そして、今回一番手こずったのが、JIS第3水準、第4水準の漢字の扱い。
青空文庫のテキストファイルは歴史的経緯もあって文字コードがShiftJIS。青空文庫が始まった時期的に当時としては最適だったんだけど、今から始めるならutf8だったろうなあ。
ということでシフトJISで扱えない漢字、第3水準、第4水準の漢字については
[#「木+吶のつくり」、第3水準1-85-54]
などと、青空記法で記載されている。
最初、コード変換なんて計算させればいいんだろう、ぐらいに考えてたら甘かった。
グーグル先生にお願いしてもそんなお手軽な方法は教えてくれない。
どうやらベタでコードと漢字のハッシュを作って対応するしかないっぽい。切り替えて検索方法を変えて探して見つけたサイト
JIS第3水準漢字一覧表【全1259字】(JIS X 0213:2004)
https://www13.plala.or.jp/bigdata/jis_3.html
JIS第4水準漢字一覧表【全2436字】(JIS X 0213:2004)
https://www13.plala.or.jp/bigdata/jis_4.html
(※どちらもhttpsではなくてhttpでアクセスしてください)
こちらに「テキストでコピーできる一覧表」があった。
こちらにも書かれてるように「使いやすい一覧表が無く、コピペできないPDFとかしか無かった」のはほんとその通りで、こちらのページには大感謝、だった。ありがとうございます。
これをスクリプトに仕込んでハッシュに読み込んで、青空文庫のJIS3、JIS4に対応することができた。
これさえクリアしてしまえば、EPUB3ファイルを作成するについては使いまわしの部品の組み合わせだけ。おかげで、青空文庫から電子書籍化が簡単になった。
手作業が必要なのは「タイトル・著者名を記載したテキストファイルを作成する」のと「カバー画像を作成する」の2つだけ。カバー画像はこだわらなければ真っ白の画像でもかまわない。
とはいえ、せっかくだし「本」「書籍」っぽくしたよなあ、という欲も出るんで、カバー画像を作るのに時間が一番かかる。
今どきはAIにイラストを発注することができるので、『罪と罰』のカバー画像もAIにお願いした。
年寄りの趣味として本作りは悪くない趣味じゃないかなぁ。
で、こんなネタで終わらせると申し訳ないので、上記サイトからいただいた漢字テーブルを貼り付けておきます。全部で3817行あります。未定義のところは「〓」を入れてます。
・jis3で始まるのは水準3。jis4で始まるのは水準4
・続く「-」で繋がってるのは面-区-点
・「,」の後ろが該当する漢字
※ネタ元のサイトはヒエログリフなんかもあって、めっちゃ充実しているんでぜひ飛んでみてみてください。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」