Kindleコンテンツ制作説明会Ⅲ

kindleのコンテンツ制作についてのセミナー第三回というのに行ってみた。
特に目新しいことはなかったけど、収穫としては。
・外部リンクは基本的に問題ない。
リンク切れはもちろん、続きはこちらとか、リンク先で何かを売ってるとか、本が完結していないようなやり方のリンクは発見したら指摘する、てな感じ。去年暮れから今年の頭に仕事をもらっていた版元から、外部リンクは一切ダメと取次ぎに言われたので削除してくれという修正依頼が飛んできたけど、都市伝説レベルの間違い。
・コンテンツ内で使う画像のファイルサイズは1点につき5MB以下
配布資料にさらっと書かれていて、説明もあってちょっとビックリした。最新のkindlegen2.9では画像のファイルサイズは5MBまでいけるとのこと。127Kにしなきゃ、とせっせとフォトショでいじってたのは何だったのか…ってKDPのヘルプ「画像の準備」には今日時点で127Kが上限と書かれたまま。最新情報がAmazon、KDPのヘルプに反映されていない。たぶん他の記述もあやしい。
・クリッカブルマップが使えない固定レイアウトでHTML目次?
iOSなどのアプリでは論理目次が使えない。HTML目次が必須。なのにクリッカブルマップが使えないんじゃ目次になってないんだが…と思ってたところ、仕様上それでしかたがない、というかそれで良いんだそうだ。目次のように見える一枚画像をHTML目次として指定すればいい、ということ(悩む必要はなかった)
ほかは、全体に適用するようなタグにフォントを指定しちゃいけない。背景色のこともあるので色指定しちゃいけない。ルビタグや空のタグなどトリッキーなことはやめてね。という従来通りの説明。
kindlegenもpreviewerも最新版を使えば、そこで作られるmobiデータとその表示は販売データと同等のはず、ということ。
リフローに関しては。
EPUB3とほとんど差がない。EPUB3でファイルを作ればそれでOK。
フィックスに関しては。
kindle独自のバーチャルパネルがあるのでそれに関する記述が必要。
バーチャルパネルというのは画面をダブルタップするとページを4分割してひとつづつ拡大して表示するというもの。その順番の指定が必要。
…て、クリッカブルマップを実装できないのはこのバーチャルパネルとバッティングしてるからじゃないのか疑惑がむくむくと。ケータイの漫画のように、きめ細かくコマごとで分割して見せるわけではなく乱暴に4分割するモードで、こんなもの不要だろう。
Q&Aのコーナーでも言ってたけど、最新情報を確認するのはサイトを見てください、ということ。
でも、そもそもそのサイトの情報が新旧いり混じっているので混乱の元になっている状態。てのは把握してるのかなぁ。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
かんたん固定レイアウトEPUB3作成

かんたんEPUB3作成easy_epub https://t2aki.doncha.net/easy_epub ではEPUB3のリフロー型電子書籍を作ります。ついでというかオマケでフィックス型レイアウトの電子書籍(コミックスや写真集)を作るスクリプトも作ってみたので公開します。
これで作った固定レイアウトのEPUB3ファイルは、KDPやKWL、ibookstoreなどに登録できます。
※ kindleなどで写真やイラスト、漫画を画面全面・全体に余白なく表示させるためには、現状、EPUB3リフロー型の電子書籍ではなくフィックス型(固定レイアウト)の電子書籍にする必要があります(リフロー型は画像の上下左右にマージンが入ります)
こちらをダウンロードしてください → https://t2aki.doncha.net/release/fixed_epub.zip
[2014/02/08 14:25:05] 最新版
ダウンロードしたら、かんたんEPUB作成easy_epubにあるeasy_epub.zipを解凍してできる「easy_epub フォルダ」に解凍してください。
※ fixed_epubでファイルを作るためには、 「かんたんEPUB作成easy_epub」 が必要となりますので、こちらもダウンロードしてください → https://t2aki.doncha.net/easy_epub
(コマンドラインの使い方や WINDOWS での ActivePerlの入手先などもあります)
easy_epubフォルダ
解凍したらターミナル.app(mac)やコマンドプロンプト(windows)で
・perl fixed_epub.pl fixed_sample.tsv
と入力してみてください。yyyymmddhhmmss.epub(年月日時分秒.epub)という名前でepub3ファイルができます。
※ EPUBチェックでエラーはありません。
最低限必要なのは2つです。
・本の情報を指定した設定ファイル
・連番のついた画像ファイルの入ったフォルダ(フォルダの中にはカバー用の画像(cover.jpg)と目次用の画像(index.jpg)が必要です)
【fixed_sample.tsv】
本の情報(目次や綴じ、画像の縦横サイズなど)の設定ファイル
タブ区切りで必要事項を記入しています。文字コードはUTF8(BOM無し)
・綴じかた
漫画などは右綴じで左ページ始まりです。写真集などは左綴じで右ページ始まりです。
・画像サイズ
iPadは、縦横比4:3、ヨコ1536×タテ2048
Nexus7は、縦横比16:10、ヨコ1200×タテ1920
(一般にHD(ハイビジョン)は縦横比16:9)
・タイトル、著者名
・目次
デバイスの目次(論理目次)に登録します。
目次に該当するページの画像名と目次に表示する文字を記入します。
※サンプルでは3つですが、最低1つあればOKで、目次の数だけ増やすことができます。
【fixed_sample フォルダ】
設定ファイルの名前と画像の入ったフォルダ名は関連しています。
設定ファイルの名前が「fixed_sample」.tsvなら「fixed_sample」というフォルダを探します。設定ファイル名前が「hohoho」.tsvなら、「hohoho」というフォルダを探します。
画像ファイルの名前は半角英数字で、1から始まる連番をつけてください。
カバーcover.jpgと目次用画像index.jpgは名前固定です。
windowsではバッチファイルが使えます。
設定ファイルを fixed_epub.bat にドラッグ&ドロップすればフィックス型のEPUB3電子書籍ファイルを作ります。
コミックスや写真集などのように、1ページに1枚の画像という作りの電子書籍は、画像の作り方・質がすべてです。
すべての画像は同じ縦横サイズで作成。解像度も合わせておいたほうが良いでしょう。漫画原稿などは縦横比4:3(このスクリプトのほぼデフォルト状態、iPadなどの縦横比と同じ)で、HD(ハイビジョン)対応のタブレットなどは縦横比16:9です(kindleやnexusは現状16:10です)
拡大縮小に耐えるには解像度300dpi程度は必要なようです(kindle推奨値)
このスクリプトの、本の作りは
1)カバーページ
2)目次ページ
3)本文ページ
ということで、本文は3ページからスタートになります。目次ページも画像で用意することになりますので、猫写真集では以下のような目次画像を用意することにしました。
さらにこのページを目次として使うために画像をクリックしたら該当ページに飛ぶようにリンクとします。
OEBPS/text/contents000.xhtml
↑これが目次ページのXHTMLなので、これを直接編集します。以下はSVGでのいわゆるクリッカブルマップ指定をしたものです。
(※ [2014/02/09 11:32:00] 今日時点。kindleはクリッカブルマップに対応していません)
この目次ページがなくても、本スクリプトでは、設定ファイルを読み込んでデバイスで使う目次(論理目次)を生成しますので、論理目次が使えるデバイスであれば目次ページは不要かもしれません。
Macだとターミナルでコマンドラインで、WINDOWSは添付のbatファイルにドラッグ&ドロップするだけでOKです。
【Kindleストア発売中】
【iBookstore発売中】
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
epubチェックを手軽に実行

EPUB3電子書籍ファイルを作ったらEPUBチェックを使ってエラーや警告の確認は必須。
とはいえ、やり方がわからなかったり、なんだか面倒くさいし、kindleはAmazon側でファイルを変換してくれて登録できるのでそれでいいや、というのが現状かも。
iBookstoreやgoogle playはエラーのないEPUB3を要求する。他の販路・ストアを使うためにもエラーのないきれいなEPUB3にしておくに越したことはない。
EPUBチェックについては丁寧な解説やアプリがあって、以前ここの 「epubcheck が githubに引っ越ししていた」 で紹介した。同じようなスクリプトを作るのも無駄かなあと思いつつ、ウチのローカル版EPUB3作成ツールの中に入れておけばちょっと便利かも、と同梱(epub_check.pl)してみた。
Mac版はターミナル.appを使ってコマンドライン、WINDOWS版はコマンドラインでもOKで、バッチファイルも入れたのでドラッグ&ドロップで手軽にEPUBチェックが使えるようにした。
こちら → 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
そもそもEPUBチェックってどこにあるの?というところから周知されていない…って、制作者なんて限られてるだろうから、周知する必要もないということかも知れない。でも、今やkindleやibookstoreなどメジャーなストア・プラットフォームが個人出版を受け入れて、多くのひとが電子書籍を作って参入している。
エラーをチェックしないまま登録されると悲鳴をあげるのはプラットフォーム側だろう(kindleのコンテンツチェックが厳しくなったのはナゼ?とか)
https://github.com/IDPF/epubcheck/releases
↑EPUBチェックの最新版はここにあります。
エラーがなければ、「No errors or warnings detected.」(エラーや警告は見つかりませんでした)と表示される。
スクリプトでは、最新版の3.0.1がフォルダになければ勝手にダウンロードしてきて解凍・展開するので、EPUBチェックを探して検索したりダウンロードして解凍したりする手間(ひと手間程度だけど)がない。
WINDOWS版はバッチファイルを用意したので、面倒くさいコマンドラインは不要。
(JAVAがインストールされていることが前提で、PATHにjavaが含まれていない場合は、JAVAをインストールしてください、とメッセージを出して終了する)
てな感じ。
作るだけじゃなくて、エラーのチェックもしましょう!
[01/31 10:49:53] 追記
kindle previewerで、キンドルでのエラーというかファイルの不備をチェックできる。
「表示」→「本に関する情報」を開いて、すべての項目が埋まっていること。「指定の」と妙な日本語だけどこれでOK。未設定の項目があれば、それはファイル不備。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
SigilのEPUB2をEPUB3に変換

» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
epub2のtoc.ncxをepub3の目次に変換

Sigilなどで作られるepub2ファイルをepub3ファイルに変換するための小ネタ。
・各xhtmlファイルのヘッダを書き換える
これはエディタのマクロや、スクリプトで一括可能。複数のファイルに対して検索置換できるエディタがあればこういう時に重宝する。
・opfファイルを書き換える
metadata部
epub3の書式に合わせて書き直し…ってほぼそのままでイケるような気がするけど、既存のEPUB3ファイルのopfファイルを開いてコピペ、それをひな形にしてepub2の方から必要なものを移植するのが確実かな。
manifest部
toc.ncxがらみの記述を削除。
新たにナビゲーション文書を設定・指定する。各プロパティ指定を確認。
spine部
toc.ncxがらみを削除。あとはそのまま。
guide部
まるごと削除
エディタやスクリプトで一括が可能だと思うけど、metadata部がちょっとメンドクサイので手作業コピペ。
・ナビゲーション文書を新規作成する。
ナビゲーション文書(たとえばnav.xhtml)を新たに作る必要がある。いまのところ、目次とランドマーク。ランドマークはopfファイルにguide部があれば、それをコピペして編集すればイケる。
epub2のtoc.ncxをepub3目次用のリストに変換するのが以下のスクリプト。
まとめて全部、一括変換するスクリプトを書こうとうだうだやってたんだけど、metadataの差の吸収が意外に面倒くさいので投げた。今日のところは。
…気力があったらそのうちスクリプトを書いて、もう少し丁寧に説明を書いておくかなぁ。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
epubcheck が githubに引っ越ししていた

最近epubcheck のバージョンとか確認してなかったなあ、と見に行ったら、code.google.com から移転。
今、最新版は https://github.com/IDPF/epubcheck こちらでリリースしている。
以下は、ここ『ひまつぶし雑記帖』でのお問い合わせ「エラー」について。
去年10月下旬にこの雑記帖に問い合わせフォームを設置したところ、ポツポツ問い合わせをいただけるようになってきた。
「エラーでうまくできない」
EPUB3::かんたん電子書籍作成 はEPUBファイルに梱包するために、一時ファイル・一時ディレクトリを作って作業している(サーバーの容量のこともあるので、一時ファイル類は梱包後に削除している)
ファイルの入出力というやつで、処理は重い。わたしの契約しているレンタルサーバーのプランがショボイせいもあって、大きなテキストファイルや、小さなファイルでも小見出しがたくさんある=ファイル数が多いコンテンツは、セッション切れを起こすことがある。
これはお手上げなので、 ローカル版かんたん電子書籍作成 か(ただ、ローカル版はコマンドラインでの作業、多少ハードルが高いので)実績もあるWEBサービスの でんでんコンバーター をご案内している。
「EPUBファイルを作った後、Sigilなどで編集したらうまくいかない」
EPUBCheckでエラーを確認して潰していけば、たぶん解決する。でも、メールで話をうかがうと、EPUBCheckのハードルが高い。
インストーラーがあるわけでもないし
・WINDOWSはJAVAのインストール・PATHの設定なんてことまで必要。
・Macもzipファイルをダウンロードしたはいいけどこれってどうするの?
・ターミナル、コマンドプロンプトを使ってコマンドラインにタイプすることになる。
ということで、オススメのEPUBCheckの紹介・解説・使い方ページ。
WINDOWS版
「epubcheckのラクな動かし方 for Windows 7」 ( @ryou_takano )
EPUBCheckの解説とMacアプリ紹介
「うわっ…あんたのEPUB、ダメすぎ…? 検証とその対処」 ( @lost_and_found )
「k△△では登録できるのにi○○(電子書籍ストア名)に登録できない」
ストアごとで素材などのレギュレーションが違うので、ユーザーページなどで公開されているガイドラインPDFを確認してくださいと。
…でもなあ、たとえば画像にしても、画素数とかファイルサイズとか解像度とかファイル形式とか、そんなもん知らんがな、というのが正直なところ。EPUBでValidなものを作ったんだから、それ以外のところはストア側である程度は吸収して欲しい。
・kindleは登録時にコンバートされてそれっぽくなる(そのかわり画質は気にしない前提)
・ibookstoreはエラーで弾かれて登録できない(エラーメッセージを見て自己解決しろよ前提)
お問い合わせのほとんどがこの3つのケース。でも、それだけっちゃそれだけのこと。
EPUBのおかげで(策定・運営しているひとたちに感謝 https://idpf.org )ツールやアプリも揃ってるので、電子書籍を作ること自体は簡単になっている。
上記したエラーも、面倒くさいだけで難しいことじゃない。ひとつずつ・一カ所ずつ試行錯誤すれば解決できるのでめげず挫けず。
タイトル数が増えて市場が膨らんで一般化して、メシのタネのひとつになってくれるととてもうれしい。
↓ちなみに、ツールもアプリもない状態でEPUBファイルを作る艱難辛苦(参考になります)
「エラーメッセージから学ぶ電子書籍EPUB - 最初の一歩」 ( @merborne )
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」