電書協準拠easy_epub暫定版
EPUB電子書籍の最低限の条件は、epubcheckでエラーや警告の出ないきれいなEPUBファイルであること。
…んで、以前にも言ったように、これは最低限。
kindleや楽天kobo、ibookstore、角川BOOK WALKERなどの電子書籍ストアは各々独自のレギュレーションがあってそれに合わせる必要がある。
特に画像まわり。サイズや解像度がデバイスの進歩(?)にともなってレギュレーションも変わっていく。レギュレーションに合わないものはリジェクトされたり審査に通らなかったりする。
つまり、EPUB3でエラーのないファイルでも、電子書籍ストアのレギュレーションに合ってないと、店頭に並べられないことになる。
…てなことも、以前言ってるのでこのへんで。
これとはまた別の要件というかリクエストで、
「電子書籍協会のEPUB3制作ガイドに準拠」したEPUBファイルにしてほしい。
というのがある。
epub3ファイルとしてエラーも警告もないし、ストアのレギュレーションも最低のところに合わせてクリアしてるのに、さらにまたなんで電書協ガイドに準拠しなきゃいけないのか、いまいち意味不明なんだけど…現状、電書協の制作ガイドが広く使われているので、安心できるというところなんだろう。
『日本電子書籍出版社協会>各種勧告・資料|電書協EPUB3制作ガイド』
https://ebpaj.jp/counsel/guide
ただ、何をもって電書協「準拠」というのかよくわからない。
・ファイルやフォルダの構成と命名規則
・スタイルシート群
だとは思うんだけど、クライアントによって命名規則やフォルダが微妙に違ってることがある。
とりあえず、ファイル分割やxhtmlのヘッダの記述、全体のおおまかなclass指定なんかをスクリプトでやっておいて、後から微調整している、というのがわたしの現状。
『かんたんEPUB3作成easy_epub』https://t2aki.doncha.net/easy_epub
↑これの「電書協準拠」版を暫定で作って使っている。
「暫定版」としたのは、上記したように結局クライアントごとの微妙な違いを修正するのに、EPUBファイルを直接編集する必要があって、このスクリプトだけで完結しないから。
ダウンロードはこちら → https://t2aki.doncha.net/release/easy_epub-denshokyo.zip
※フリー(無料)ですのでご自由にどうぞ。
使いかたはeasy_epubとまったく同じ。原稿に「小見出し」などのキーワードを埋めこんでスクリプトに流しこむだけです。
詳しくは「https://t2aki.doncha.net/easy_epub」のページでご確認ください。
easy_epubオリジナルは「FUSEe」(フリーウエア版) https://fusee.fusenetwork.co.jp/ を元に作ったもので、たぶんフォルダ名なんかが一世代前のepub2で使われているものだと思う。
easy_epubオリジナルと電書協準拠版の大雑把な違い
easy_epubオリジナル | 電書協準拠暫定 | OEBPS | item |
---|---|
・images/ ・style/ ・text/ | ・image/ ・style/ ・xhtml/ |
OEBPS/content.opf | item/standard.opf |
OEBPS/text/nav.xhtml | item/navigation-documents.xhtml |
OEBPS/text/contents00.xhtml 「contents」がプレフィックス | item/xhtml/p-001.xhtml 「p-」がプレフィックス |
フォルダ構成、OPFファイル名、ナビゲーション文書(目次)ファイル名、本文xhtmlファイル名が違っている。
電書協ガイドの肝はスタイルシート群。必要とされそうなスタイルがすべて記載されていてかなりデカイ。
easy_epubオリジナルのスタイルシートはほんと最低限のものだけなので、電書協準拠版はガイド資料にあったスタイルシートをそっくりそのまま利用させてもらっている。
電書協ガイド準拠の必須条件はパッケージファイル(standard.opf)のメタデータ部分。
ここはよくわからんけど、呪文みたいなもんで、そのまま転記すれば大丈夫。
この暫定版ですが、微調整の手作業が必要なものなので、バージョンアップの予定はいまのところありません。
ところで。twitterで教えてもらったんだけど。
easy_epubの改造版があって、どうもあまり筋のよろしくない改造をされているらしい。
なんか変だなあ、と思ったらウチのオリジナルをお使いください。
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2016年ふりかえり
2016年のふりかえり…などと言ったところで、無職初老のフリーターだ。ふりかえったところで特に何があるわけでもない。とはいえ、そろそろ真剣にボケを気にしなきゃいけない年齢。この一年なにも思い出せなかったりするとちょっと悲しいので、メモていどは残しておこう。
・電子書籍の制作仕事がちょびっと増えた。
6月頃にそれっぽいところにメールで営業してみたら定期的に仕事が落ちてくるようになった。
時代小説と官能小説。書店に並ぶほとんどの本は「品切れ絶版」で放置されるというのに、電子書籍にするためのコストをかけても採算がとれるのはこのジャンルということかな。
・システム運用というIT蟹工船のパート仕事にありついた。
週末限定。…って、ほかの業務委託とカブらないように、探したらそりゃ週末限定になるわな。
にしても「運用の仕事」てのはシビア。うまくやって当たり前で、100点満点からのひたすら減点式。ハゲが進行するぞ。
・ポケモンGoでウォーキングを再開した。
Ingressが終わって、あまり歩かなくなってたんだけど、ポケモンGoのおかげでウォーキングの再開。
内科のセンセからウォーキングはメタボ対策になるから、と言われ、整体のセンセからウォーキングは顎関節症腰痛対策になるから、と言われて、その効果も実感していた。ポケモンGoが中高年に人気なのもよくわかる。
この一年、コミケ、コミティア、文学フリマ(東京)とサークル参加。
特に昨日のコミケでは、家人の本はたくさん手に取っていただいた。やはりコミケはイベント参加者の熱量が高いなあ。
ありがとうございました。
また、年末にKindleUnlimited(アマゾンの読み放題サービス)に日野裕太郎の電子書籍を投入したところ、それなりに読まれていてちょっと驚き。アマゾン一強は来年も続くんだろう。
日野裕太郎の本は商業・同人誌・電子書籍すべて、こちらにまとめてあるので覗いてみてやってください。手前味噌の身内誉めですが、Kindleの12月新刊『淀んだ川で待っている』『うそつき、祈祷師になる』はオススメ!
→『日野裕太郎/さつきの本』https://hino-yutaro.doncha.net/
来年2017年、皆さんにとって、健康で良い年でありますように!
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KDP登録時の「シリーズ」の表示
KDPに登録する時に「シリーズ」を設定したんだけど、これってどんな表示?どこに表示されるの?というメモ、あるいは小ネタ。
日野裕太郎の12月新刊『うそつき、祈祷師になる』は10月既刊『淀んだ川で待っている』と同じ世界観で登場人物も重なるので「シリーズ」にしたい。
ということで、KDPの登録画面にはしっかり「シリーズ」というのがあるので記入した。
ここでシリーズ登録するとどうなるのかというのが以下。
商品詳細ページ。タイトルに続けてシリーズ名が表記されるのはともかく。スクリーンショットの右下を、よぉく、見ていただきたく。
小さくてわからないのでその部分だけのスクリーンショット。
「類似の本」というリンクになっていた。
せっかくシリーズとして扱ってほしいのに、これは小さい。目立たないよなあ。
でもまあ、このリンクをクリックして開くと
と、意図どおり、シリーズとして登録した2冊がリストアップされている。並び順はシリーズ番号の新しもの順(降順)になっている。
シリーズとして一覧してもらうには良いページなので、シリーズ登録ができるのはありがたい、かな。個別の詳細ページでもっとわかりやすいところに案内(リンク)をつけて欲しいところ。
URLを見ると
「field-collection」というパラメータにシリーズ名「手業の民の物語」が設定されていた。
ちなみに、どちらも今のところKDPセレクトに登録。KindleUnlimited(Kindle読み放題)なので、プライム会員のかたや、読み放題プランに参加のかたは、無料で読めますので、いかがでしょう。
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夏コミ(C90)参加しました
今年も夏コミに参加しました。
ほかのひとも言ってるように、国際展示場、ビッグサイトが人であふれかえる(3日間延べ60万人近い)イベントで、この人の数とその熱量を見ると、まだまだこっちは全然大丈夫と思う。
いや、出版不況で商業誌はこの20年近く陰気な話ばかりだしねえ。
手に取っていただいたかた、お立ち寄りいただいたかた、ありがとうございました。
そして、イベントがあるとその直後、電子書籍の方もポツポツ売れるので、リアルイベントとネットの電子書籍販売は連動するようになったのかなあ、と。
本当にありがたいことです。
日野裕太郎の電子書籍はこちらでもご案内してますので、よろしければご覧ください。
https://hino-yutaro.doncha.net/
てのはともかく。いや今回は体力的にやばかった。
コミケ当日は休みをもらったけど、とりあえず9月までの契約のIT蟹工船が週末の深夜シフト。さらに以前から業務委託でWEB運用のヘルプをしているところがなんとお盆明けにサイトリニューアルリリースという無茶なスケジュール。リニューアルのためのファイル修正作業がどっさり回ってきていて、深夜帰宅後に明け方まで作業。
結局眠れたのが4時過ぎ。朝は6時起きでコミケへ出発。
てことで、いつもだと会場であちこち見てまわり、知り合いのところにご挨拶、ということをやってんだけど、今回は自サークルの椅子に座ったきりの置物状態だった。閉会したらとっとと帰って作業の続きが待ってたし…。
睡眠時間が足りない、寝不足だと。
この歳になると、フラフラしながらも、なぜか起きていられる。作業が終わって眠れるとなったらバタンキューで寝崩れる。そして目が覚めたら、身体のあちこちが内部も外側も痛くてだるい状態がひどくて使いものにならない。
若い頃は、起きてられなくて寝てしまうんだけど、目が覚めたらスッキリシャッキリで、すぐに全開で稼働できた。
これは大きな違いだ。
加齢、老化現象でQOLが明らかに低下してるなあ。とほほ。
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ダブルクリックでepubもmobiも開けるようになった
先月、WINDOWS10にしたら電子書籍ファイル、epubファイルもmobiファイルもダブルクリックで開くようになっていてビックリした。
…て、ファイルの関連付けというだけのことなんだけど。
Kinoppyをインストールすればepubファイルと関連づけされて、epubファイルをダブルクリックすればKinoppyが立ち上がって読めるようになってたのは知ってたんだけど、まさかmobiファイルダブルクリックでKindle for PCが立ち上がるとは思わなかった。いや、なんとなくダブルクリックしてkindleが立ち上がって仰天したのが、つい今さっきの話。
kindleというかKDPに登録、アップロードするための電子書籍ファイルはEPUB3ファイルをkindlegenというアマゾンの提供するコンバーターでmobiファイルに変換する。
mobiファイルに変換後、本文など中身のチェックのために、今までkindle previewerというビューワーで閲覧&チェックしてた。
このプレビューワーは
1 Paperwhiteなどのe-ink端末やFire、iOSアプリの表示を切り替えて確認できる
2 目次やコンテンツ情報を確認できて整合性のチェックができる
と便利なんだけど。
1 実際に販売されているデータとmobiファイルが同一で実機でも同じ表示になっているのか、ビミョーで信用しきれない。
2 epub3ファイルの時点でepubcheckを通してエラーが出てなければ問題がない。
てことで、ウチの非力なネットブックじゃ動作ももっさりしてるので、本文のチェック(縦中横やルビ、圏点、太字など)だけの場合にはだるい作業だ。
でも、Kindle for PCなら、非力なネットブックでもさくさく問題なく読める。
Kindle for PCはもともとローカルのmobiファイルを所定のフォルダ(kindle_for_pc)に入れておけば読めるんだけど「mobiファイルをフォルダにコピーして」「Kindleを立ち上げて」「ライブラリで選んで」読むのは面倒くさかった。mobiファイルを修正したら、この手順を最初からいちいち繰り返し。ルビを一箇所訂正するだけでこの手順が発生する。
これがmobiファイルをダブルクリックでスグに読めるんだから大助かり、だ。
(もちろん、プレビューワーでの各デバイスごとの表示確認、というか表示の違いの確認は別途必要)
epubはKinoppyに、mobiはKindleに関連づけられている。
mobiファイルをダブルクリックするとKindle for PCが立ち上がる。
これまで、たとえば同人誌や個人出版などで電子書籍を作っても、いざ配布する時に、どうやって読むのかうじゃうじゃ説明しなきゃいけなかった。説明する方もされる方もなんだか面倒くさいし、まあいいや、になってなかっただろうか。
でも、それが「Kinoppyをインストールしてください」「kindle for PCをインストールしてね」だけでいいんだなあ。
(※mobiファイルはアマゾンの規格なので配布するのは利用規約的に微妙かな)
Kindle for PC
https://www.amazon.co.jp/dp/B011UEHYWQ
紀伊国屋Kinoppy
https://k-kinoppy.jp/
世の中、まだまだ知らないことばかりだ。
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InDesignが書き出すEPUBのモノルビの後始末
InDesignが吐き出したEPUBファイルを電書協準拠のEPUBファイルにしてね、という話。
電書協準拠というのは、フォルダ構成やファイル命名規則、スタイルシート群のことで、雛形に流しこめばほぼOK。
ただ、小見出しや圏点、縦中横などはInDesignで作成時にあてられたスタイルを確認してコンバートする必要があったり手作業がそれなりに積み上がる。
中でもルビがやっかいだった。
「No.36【CS5.5】EPUB関連 EPUB3.0対応」InDesignの勉強部屋
https://study-room.info/id/studyroom/cs5/study36.html
↑こちらに詳しい。
グループルビはそのまんま。
一文字ずつモノルビをあてた場合もそのまんま。
問題なのが、モノルビを二文字など複数文字にあてた場合だ…ていうか「モノルビ」っていうぐらいなんだから複数の文字に使うのがどうかしてるだろ。
「準拠」にモノルビ(じゆんきよ)の場合、EPUBに書き出すと
グループルビの中、ルビが「じゆん」「全角空白」「きよ」となってしまう。
(EPUBはモノルビの rbタグは使えないので、グループルビの rtタグになる)
ルビに意味不明な空白などありえない。きちんとひと文字ずつのルビにしてやる必要がある。
学術書系や小説なら時代ものなどはこのルビ修正だけで生き地獄。しくしく。
てことで、InDesignの吐き出すEPUBの変なモノルビを、ひと文字ずつの正しいグループルビに変換するサブルーチンを書いた。
ソフトが書き出すものだからツールで変換するのが確実。ひとの手でひとつずつ修正してたら、まず間違いなくどこかでミス・タイポが入りこむ。
ほんとperlがなかったらと思うとぞっとする。
この手の細かいスクリプトがあちこちのフォルダに散らばってる。
そのうち整理してまとめなきゃと思いつつ、汎用、使いまわしを考えすぎると、結局使う時に面倒が増えたりして使い勝手の悪いものになるからなあ。悩みどころ。
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