2014年電子出版界隈(戯言)
具体的なデータなどなく、思いつきの羅列。
2013年はやっと電子書籍元年だった、というのは異論のないところだと思う。
楽天kobo、Amazon(kindle)、apple(iBookstore)、google play ブックスといった電子書籍ストアが出揃った。やっと。
出揃ったというのは、小学館・集英社、講談社、新潮社、角川書店など大手版元が上記ストアに展開し始めた、ということ。
・一般読者への(電子書籍に対する)認知もこれでやっと浸透する条件が整ったと思う。
大手版元各社とも、新刊を出す段階で電子書籍の展開も考えて契約してストアに流してくるので、出版点数が加速するのは間違いない。
かれらは、手持ちの紙資産タイトル数が半端じゃないし、その品切れ絶版ってわざわざ金をかけて投入する意味があるの?というタイトルも、電子書籍は実在庫を抱えるのではないので、経理処理だけの話に落とし込んで(優先順位は低いだろうけど)順次投入するのではないか。
著作権切れの海外文学を文庫で出すような位置づけで、塩漬けになっているタイトルが出てくる可能性。目先の6ヶ月で採算が取れない・ペイできないとしても電子書籍は物理的な在庫を必要としない・劣化しないんだから、その処理と対応の話に思える。経理業務をシステム化して軽くできれば雪崩れこんでくるに違いない。
・ボーンデジタルはまだ時期尚早だろう。
アプリから移住してきたり、金の匂いで参入してきたネット屋が退場する年となる。
ぶっちゃけわたしはこういうのが嫌いなのでバイアスがかかってる状態でいうと。タダでコンテンツを調達して、乞食に投げ込んで、広告クライアントから金をせびるというビジネスモデル。
自らがメディアとなって(=パトロンとなって)コスト(金や労力)をかけてコンテンツ制作、供給していくぐらいじゃないと読者の信用は得られない・クリエイターは集まらない。
去年2013年は、ボーンデジタルでやっていたところで、人員削減・業務縮小、撤退という話が。市場規模がまだ小さくて思ったほどダウンロード数も稼げなくて金にならなかった・資産もなく新規の制作費ばかりがかさんで無理だったということ。ネットは始めるのが簡単なのでやめるのもスグ。今年もその我慢比べ。体力のないボーンデジタル組は脱落する。
・個人出版は電子書籍の枠ではなくて
コミケやコミティア、文学フリマなど、個人が出版、Publishする場所は電子書籍以前から広がりを見せている。
ここで何度か書いたように、イベントでしか入手できない本をダウンロード販売でその場で入手できるのは電子書籍の強み。去年すでに、同人誌即売会でやっているサークル、作者さんたちはkindleなどの電子書籍ストアに並べ始めている。今年はそれも増えるだろう。…とはいえ、まだイベントがメインになるのでどっと流れ込んでくるようなことにはならず、徐々に増えてるかなあ、ぐらいか。
ということで。
今年2014年は既存の大手版元が電子書籍市場で存在感を示す、電子書籍が既刊本も含めて街の大規模書店と同じような品揃えになる年になる…というか電子書籍を一般読者に認知してもらう年にならないと市場が膨らまないので頑張ってください。
電子書籍で本を読む、読書環境として電子書籍が一般化するところまで期待させてください。
[01/02 22:15:28] 追記。
楽天kobo。わたしは楽天はあの腐ったスパムメールで大嫌いなんだけど、去年の電子書籍元年は楽天が重い扉を開いたらしい。
下請けで仕事をいただいた版元さんから「楽天がなければまだ先になってたと思います」という話を聞いた。楽天としてはそれ以前から「打倒Amazon」で、いよいよkindle上陸かということで国内版元に強烈な働きかけ。オープン当初の社長の発言や一枚画像やwikipediaを一冊に水増ししたり問題になったけど、2013年を電子書籍元年にしたのは2012年の楽天だったということか。時間の問題に過ぎないと言われりゃそうかもだけど、少しでも早くにオープンできたことに関しては感謝、頭を下げるばかりだ。
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今年は年末年始休暇が長いらしい
クリスマスが終わったら今年もあと4日、いよいよ年末。フリーターに年末年始は関係ないけど、仕事をいただいているところは27日終了、年始は5日からというパターン。年内の電子書籍制作はあと2~3本か。
ウチは今年の冬コミ、初落選。とはいえ、あの熱気の中に身を置くのは刺激になるので、大みそか31日は一般参加で行く予定。例年と同じくコミケが終わったら今年一年の終了。
今年は上下左右・右往左往のダッチロールだった。
電子書籍がらみでは。売り上げ不振でひとが辞めたり業務縮小したりのあおりを食らったり、かと思えば、小さいながら新規でお仕事をいただいたり。
WEBの保守運用業務が安定していただけたのでかろうじて。
ていうか、これじゃ食っていけないので困ったことになったなあ。
制作に関していうと、中国でやりますのでとリフロー1コンテンツ****円や、固定レイアウト***円、なんていう噂(真偽未確認)も聞こえてきたのでクラクラするばかり。
んな値段で受けてたら、日本の高校生アルバイトの日給にもならない。ほんとかなあ。
文字中心のシンプルなものなら一日あれば数コンテンツは形にするけど、定期的に大量受注ができないととてもやっていけんわな。
今のところ、知る限り1コンテンツ15000~30000円が相場なんだけど。
自分のところで出してる電子書籍に関しては、年始から春ぐらいまでは先行者有利で(kindleで)それなりに売れてたけど、夏過ぎたら勢いはなくなった(無料も入れて4桁)ただ、これは出し続けてナンボ・積み上げてナンボだと思ってるので悲観はしていない。むしろ、積み上げてからが楽しみ(にしても、iBookstoreが思ったほど動かないし=無料を入れてやっと3桁、google playはどこにあるんだか…)
来年は、kindleを中心とした電子書籍、コミケやコミティア、文学フリマなど同人誌即売会のほかのチャンネル=販路のことも考えないと。
まだまだ厳しいけど、種まきしながら、小さなことからこつこつと。
([06:01]数字が一人歩きされるとまずいので伏字修正)
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取り寄せますか?じゃあ、いいです
「対アマゾン、電子書籍で連携 書店や楽天など13社、めざせ「ジャパゾン」(朝日新聞)」
という記事で今日は朝からついったでいろんな、というか否定的な論調にあふれていた(わたしの観測範囲での話)
記事を読むのにいちいち会員登録を要求されるのは嫌なので、全文は読んでないけど、どうやら楽天や紀伊国屋が中心となって、書店で電子書籍を買えるようにしよう、ということらしい。
書店で電子書籍を売る・買えるのにどうして否定的なのか、過去失敗してるし、そのやり方はどうなのということなんだろうけど。叩くばかりに少し呆れた。
書店に行くのは、いつも買う雑誌の発売日だったり、好きな作家の新刊の発売日。それを目当てに足を運ぶ。「ついでに」書店の中をうろうろして、他に面白そうな雑誌があったら手に取るし、同じ作家の過去作品をパラパラ開く。そうして新しい本を見つけてきた(わたしは)
「を、古処誠二の新刊か、本屋に行くぞ!」「へへへ、ゲットだ。そういや古処の前作持ってなかったっけか」「えーっと、あれ?ないのか」「すみません、古処の集英社から出てたはずなんですが」「え?取り寄せで2週間ですか(じゃあamazonで買うから)えっと、いいです。ありがとうございます」
本はそこに・その場にあるから買うのだ。
書店在庫がないことで、読者からすると新しい本が手に入る機会(書店からすると売る機会)が奪われている。
街中で、まだまだひとを集める箱として機能している書店なのに、新刊ラッシュに追われて棚が作れない状況があって、これでは痩せて・枯れていくばかり、という危機感があるはず。
そこで物理的な在庫を必要としない電子書籍を売ろうというのはあってしかるべきだと思うし、上記の状況で「今ウチに在庫はありませんが、電子書籍でご案内できますが」と言われればそこで買うことも十分ある。
書店で買える電子書籍。いいんじゃないかと思う。使いやすいやり方でサービスインしてほしいと思うんだよなあ。
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『猟人日記』ツルゲーネフの写経
どうして面白いんだか読んでいて自分でもよくわからない、でも何かの拍子に気になってしかたがない小説というのがあって、ツルゲーネフの『猟人日記』もそのうちのひとつ。
山場もなくカタルシスもなくオチもなく、ただただ淡々と農民の話、風景描写があるだけ。退屈でとてもひとには勧められない。
角川文庫、中山省三郎 訳の『猟人日記』が2006年で著作権切れ、ということで2008年にAmazonで古本で購入しておいた。箱入り(?)の上下二冊(平成 二年 四版)
青空文庫でも2003年ぐらいから作業中になっている(https://www.aozora.gr.jp/index_pages/person5.html)ので公開されるまでの繋ぎに、自分でひとつ『わが隣人ラヂーロフ』を写経した。
ttps://dl.dropboxusercontent.com/u/10033521/_epub/ryojin-nikki.epub
↑ iPhoneなどiOSやMacの、Safariでダウンロード→「iBooksで開く」で読めます。
ttps://dl.dropboxusercontent.com/u/10033521/_epub/ryojin-nikki.mobi
↑ ダウンロード後、kindleにUSBで直接コピー、またはSend-to-kindleで読めます。
[2015/03/12 08:47:47]
↓音声をつけた電子書籍に制作しなおしました
https://t2aki.doncha.net/?id=1425130349
(誤植などの訂正もこちらのページで更新します)
とりあえず、青空文庫を待つ間、思いついたら他の短編も写経するか。
あらためて読んだけど、どこが面白いんだかよくわからなくて困った。でも読んでる最中は没入しちゃうんだよなあ。
ちなみに、『猟人日記』は角川の中山省三郎訳版のほかに、岩波文庫の佐々木彰 訳も持っていて、こっちは新字で読みやすい。
[12/20 18:04:57] 「ホーリとカリーヌィチ」追加
[12/21 13:21:26] 「エルモライと粉屋の女房」追加
[12/24 18:26:07] 「苺の泉」追加
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iBookstoreでブックをプレゼント!
iBookstoreでブック(本)をひとにプレゼントできる!ということでちょっと試してみた。
この機能はゲームや音楽ではすでにあったらしく特に目新しいものではないということだけど、わたしは今回初めて知ったのでどういう手順なのか確認のメモ。
iBookstoreでプレゼントしようと思う本のページで「このブックを贈る」を選ぶ。
贈り先のメールアドレスとメッセージを入力。いつ贈るのか選択もできる。
テーマを選択って?と思いつつ適当に選んでみた。
ギフトを確認する画面。宛先と差出人、メッセージ、贈るアイテムや値段が確認できる。
上の画面で「ギフトを購入」するとIDとパスワードの入力が求められる。※この画面にきて初めて購入することになる。
IDとパスワードを入力するとギフトを贈りましたという確認&完了画面。
先方にはこんなメールが届く。テーマの選択というのはここで使われるのか…。さすが林檎、しゃらくさいことをする。
「今すぐコードを使う」をクリックするとiTunesStoreに飛んで、そこでクーポンコードを入力するとプレゼントした本がダウンロードされる。
実際、どういう使われ方をするのか今ひとつぴんとこないんだけど。
本というのは「をを、こりゃすげー面白かったぁー!」となったらひとに勧めたくなるものだし、「ん?この設定はあいつ好きそうだな」とやっぱりひとに勧めたくなるもので、貸し借り回し読みで広がっていく部分も大きいと思う。
プレゼントと貸し借りはちょっと違うんだけど、こういうことからでも広がりが少し出てくると面白いよね。
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Kindleコンテンツ・クォリティのガイドがシビア
Kindleのクオリティチェックが厳しくなっているらしい。
https://p.booklog.jp/book/385/page/1997555 パブーで10月末に配信停止のお知らせが出ていて気づいたのが最初。あれ?と思ってたんだけど、直接やりとりのある某版元もkindleで12月頭あたりから配信停止となるコンテンツが出てきて頭を抱えていた。
この某版元はEPUBチェックでエラーはもちろん警告もないファイルを取次ぎに納品しているにも関わらず。…どこがいけないのか確認したら誤字脱字、行間の指定、右寄せ、フォント指定などがひっかかったと。
誤字脱字や書式の設定など、ひとが目視チェックしないとわからないことで、kindleに人員増員して本格的にやる体勢を整えたのか。無料で校正してくれるんだからありがたいじゃないですかと、のんきなことを言ったら、ウチのをまるごと扱わなくなったら大変です!と。
てのはともかく。
今日はじめて気づいた、kindle KDPヘルプに 「Kindleコンテンツ・クォリティのガイド」 というページがあった。
ここに書かれているNG例に某版元の担当と雑談していたことがほぼそのまんま含まれていた。
でも(文面が矛盾してる・意味不明なのはさておき)厳格に守ると何もできない。30年前のテキストだけのwebになってしまう。ネットスケープ以前、モザイクの世界だ(それでもモザイクには驚いたけど)
そのうち文面も改訂されると思うので、今日時点のネタ。
タイプミス(誤字脱字)やサポート外の文字コード、コピペミスなどは当然の話。問題は「書式設定」のNG例。気になったところをあげると。
・本文のテキストが太字、斜体、下線付き、ハイパーリンクのテキストとして表示される
学術書などは出典のタイトルを斜体にするのが基本。強調の太字も下線も使えないということなのか。
・本文テキストの余白が画面幅の4分の1以上を占める設定になっている
いわゆる扉ページは本文は短い縦書きの文章で左右が大きく空いている。4分の1どころじゃない。
・本文のテキストが強制的に揃えられている
著者名など下揃え、右寄せだったりするし、字下げしてインデントを揃えることもある。
そもそも、扉ページ以外の2点はガイドラインのPDFにサンプルコードが載っているし、扉ページにしてもEPUB3ではエラーじゃない(koboが版元に配ったガイドラインに扉ページのサンプルコードが載っていた)
現状、わたしが作ったEPUB3ファイルも上記使いまくり。今のところ配信停止などの連絡はきていない。
コンテンツ数の多いところからチェックしているという話も聞いてるので、KDPの個人出版などは後回しかもしれないけど動向はチェックしておきたいところだ。
とりあえずは、現状のまま制作してみて様子見。
ページの日本語がなんだか怪しい感じなので、わたしの読み違いということもある。
EPUB3でエラーのないファイルを作ればすべてのストアに使えてみんなシアワセ、のハズがストアごとのレギュレーションを合わせなきゃいけない。
[12/17 18:10:38] 追記。
google+で教えていただきました。
https://plus.google.com/118348892883229855796/posts/4wDyoDKM2cU
日本語版ガイドの「本文」は英語版では"body text"となっていますが、body textは一般的に扉ページや見出し・注釈・著者名・出典等を含みません
とのことなので、上記のあれ?これどうなの?というのは、わたしの誤読。お騒がせしてすみません。
本文全体を太字にすることもないし、本文全部を右寄せにすることもない。…でも、こういう指摘があるってことはそんなことをしている本が登録されてる、ってコトか。意図的なのか、制作したアプリのせいなのか。
しっかりチェックを始めているということだけは確か。
ガイドラインを読んで、絶対値指定やフォント指定、色などは使わないのが吉。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」