電子書籍はなくならない
twitterで見かけて今さら気づいたんだけど、電子書籍はデータなのでなくならない。
電子書籍ストアがサービスを停止して本が読めなくなる、なくなるじゃないかというのとはまた別の話。
なくならない、ずっと公開されていることが前提なので紙印刷本とはまた違う問題がある。
紙印刷本の場合は、印刷部数があってそれが書店に配本されて店頭に並ぶ。その間に読者に買われたら終了するし、一定期間後売れ残ったら返本されて倉庫におさまり、そのうち裁断されて終わりとなる。
乱暴な言い方になるけど、よっぽど致命的なことでもなければ回収騒ぎにならず、多少の誤植やその他もろもろはそのまま消えて行くことになる。もしくは「では増刷がかかったらその時に修正します、加筆修正もその時にお願いします」ということが多かった。
(「よっぽど致命的」定価や雑誌コードを間違えたり、よろしくないところが見えていたりして、マジックや修正用のシールを持って配本直前の取次ぎの倉庫に社員総出で出かけたことも何度かあった)
ネットにアーカイブされていつでも・どこでも・今すぐ手に入るのがデータダウンロード販売の強み・特徴。
VODの動画配信サイトで仕事をしていた頃。
不備があったり、メーカー=権利者からの要望でデータを差し替えることは頻繁にあった。
公開中のデータを差し替えるために、今まさにダウンロードしようとアクセスしてくるユーザーに影響が出ないように分散・履歴管理など堅牢な作りになっていた。購入&ダウンロード済みの顧客には問い合わせ対応もしくはメールでお知らせして新しいデータをダウンロードしてもらっていた。
アニメなど権利関係がシビアなところは公開期間が決められていて、そこを間違えるとあちこち大変だった。
本来、一度アーカイブしたら公開し続けることを前提としていたので、この公開開始・取り下げはイレギュラー処理という感覚が社内にはあったかな(データダウンロード販売の強み「いつでも・どこでも・今すぐに」とは合わないから)
電子書籍もデータ。
一度アーカイブされたら公開し続けることでデータ販売の強みを生かせるし、取り下げや修正作業なども動画のケースと同じだろう。
ただ、動画と違って書籍の場合(現状は)一冊の書籍に複数の権利者がいることが多い(作家・イラストレーター・デザイナー)ので、動画のようにメーカー(=権利者)からのリクエストがすべてというわけにはいかないハズ。権利者個々に確認を取る必要があったり、個々の権利者からのリクエストに応えるために他の権利者に了承を得たりといった手続きの部分が大変だろうと思う。
(話はちょっと外れるけど、エロ本出版社時代、読者投稿写真誌の支払いは経理が毎月キレていた。1000円2000円といった金額の振り込みが、投稿者=権利者の人数分生じるわけでそりゃキレてもしょうがないわな、と思った。ここをシステム化した某社は今も健在)
また、修正はいつでもできる、というのもデータの良いところ…と裏腹というか表裏一体というか。
五月雨式に修正依頼が飛んでくるのはネット、WEB制作の下請けをしているとありがちで身にしみる話。紙なら次回増刷時にと区切りもできるけど、データの場合は「コストもかからないんだし今すぐ対応してください」なんてことになる。
さらに、修正した電子書籍を再公開するのも電子書籍ストアの数だけ手続きが必要となる。
個々の権利者の確認を取る手間や、修正改稿・取り下げへの対応など一冊作って転がして行くのは簡単じゃない。公開し続けることが前提ということは出した冊数分そっくりそのまま作業が積み上がる・増え続ける(動画のようにメーカーなりが権利関係を一括管理してくれてればその部分に関してはラクなんだけど)
著作権法改正(https://www.bunka.go.jp/chosakuken/26_houkaisei.html)とのこと。
当然、権利関係を明らかにして作者も出版者も規約を定めてその中で制作・運用していくべき…なんだろうけど。あらゆるケースを想定した万全な規約というのはありえない。
まず作者・出版者の信頼関係が必要だろうなあと、たまの法要でやってくる親戚のおっさんのような感想で終わります。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
kindle以外のストアの第一候補
個人で並べられる電子書籍ストアで、kindleストアの次、二番手はどこになるかという話。同じことの繰り返しなのでさらっと。
現状kindleストアの桁違いの大差圧勝だし、kindleはマルチプラットフォーム対応なので、kindleでええやんとなるんだけど。
ひとつのストアに依存するのは危険なので、できればいろいろ並べておきたい。
読者にしてもkindleではなくてiBooksで読みたい、Androidなら読みたいというかたもいるはずなので、少しでも多くのひとに届けたいと思ったらやはり他のストアも必要。
すでにあちこちで語られているので信用のできる記事を参考にしてもらうとして。
ウチはibookstore、google play ブックス、koboに無料販売の本を登録公開している。kindle以外のストアの販売力をウチの頼りない母数ながら憶測すると。
・ibookstore
・kobo
・google play ブックス
の順番。この3つではibookstoreが頭ひとつぐらい抜けている。
ibookstoreもkoboもNDAがけっこう面倒くさくて具体的な数字をあげていいのか不安なのでごにょごにょごまかすけど。
ざっくり販売期間をならして、ibookstoreを100とした場合、koboは70、google play ブックスは50。
作品に届くための道筋は。
・どの作品も宣伝告知はtwitterのbotで宣伝を流す、この雑記帖に広告を貼ってる程度。
・どのストアもウチの作品にどうやって辿り着くんだか動線がよくわからない。
と条件はほぼ同じだと思う。
iBookstoreがkindleの次にくるのはわかる。koboの健闘が意外だった。
楽天のクーポンバラまき・ポイントバラまきでユーザーがついてきてるのかもしれない。もともと楽天は
・会員数9193万人
・国内インターネットユーザーにおける楽天会員の比率が95%
とボリュームはある(2014年3月末時点 「数字で見る楽天」 )
ここにきて電子書籍、koboの認知が上がればそれなりに見込めるということかもしれない。
まだkoboの個人出版サービス(Kobo Writing Life)は正式に日本でのサービスは開始していない。でも今年中に個人出版サービスが「楽天kobo」から正式にリリースされるというもっぱらの噂。
今年の第21回東京国際ブックフェアの楽天koboブースで 「国内外のセルフパブリッシング事情や今年ローンチのKobo Writing Lifeに期待することをテーマ」としたセミナー がある。
花火好きな体育会系楽天がkoboのプロモをブックフェアで派手にやったのは一昨年だった、かな。今回のこのセミナーが国内での個人出版サービス提供開始の発表となる、かもしれない。期待。
電子書籍ファイルに関してはibookstoreに登録したEPUB3ファイルをそのまま使えるので、以前に登録したもので画像が小さめのやつを大きいサイズに差し替えるぐらいで対応。楽天koboに向けて準備だけはしておこう。
[07/01 22:20:50] 追記。
楽天ライティングライフの情報が出た
https://books.rakuten.co.jp/e-book/rakutenkwl/
いつでも投入できるように電子書籍ファイルの準備はしてある。支払い関係の手続きがどうなるのか確認できたら行ってみよう(ポイントでの支払いとか、楽天カード必須だったらちょっと考えよう)
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
書店で電子書籍販売
電子書籍を書店で買うのか、ということなんだろうけど、わたしはこれなら十分ありだと思った。
写真がショボくてわかりにくいけど、店内の柱部分を使って電子書籍ダウンロード用のカード「BooCa」がずらっと並ぶ。
(こっちが詳しい→ 「楽天とBookLive!が参加ーーリアル書店で電子書籍が買える「BooCa」4書店で提供開始」 )
実際に見るとけっこう楽しい。
神保町の三省堂は以前からLideoのコーナーというか電子書籍のコーナーもあって、チラシ・パンフレットと実機があるんだけど、これだと何か電子教材でも売ってんのかぐらいにしか見えなかった。
今回のBooCaはカード。
1つのカードが1つのタイトルとなっているので「へえ、あの本が電子書籍で売ってんのか」「ん?これってどんな本だろう」と、とてもわかりやすいし、興味を引かれる。表紙が印刷されていると強い・キャッチー(底本を元にしたイメージと注意書きがあって、権利関係など大変そう)で、つい手を伸ばしてしまう。
書店にいて飽きないのは「ぶらぶら歩いて表紙や背表紙を眺めて引っ張り出して、ぱらぱら立ち読みする」のが楽しいから。カードになってると書店内回遊の流れの中に違和感なくすんなり入るから回遊時間も伸びる。巡回しなきゃいけないエリアが増える。
もともと書店は1つのタイトルでハードカバーがあって文庫本がある。どちらを選ぶかは買う側の理由。これらに電子書籍がカードという現実になって選択肢の1つになったということ。カタチとても大事。
帰りの電車で読みたいというのなら紙本を買えばいいし、今日は飲み会だし帰ってから読めばいいやというのなら電子書籍も選択肢に入るだろうし。
カードは中身を丸ごと立ち読みはできないので、せめて冒頭の何ページ分かをカードに掲載してほしかったかなあ(同じ売場にその本があるからそっちを読めばいいだろうというのは怠慢)
んで、こんなことを書いておいてアレすぎるんだけど。
対象の電子書籍ストアは楽天koboとBookLive!…いちおう楽天koboの会員ではあるけど今回はまだ買っていない。
自分で売る側から言うといろんなストアに並べるべし!とか言ってんだけど、買う側として現状kindle一択。
「あの本どこで買ったっけ?えーっと」
と、本棚以前にアプリを開いて探してまた別のアプリを開いて探してというのがけっこう面倒くさい。
…という自分都合でちょっと腰が引けた。書店での販売が常設になるなら考えないとなあ。
神保町交差点の立ち食い蕎麦「いわもと」美味かった。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
ストアごとのリンク生成
今日時点、ウチが電子書籍で有料販売しているのは kindleストアと iBookstoreの2つ(無料販売をしているのはiBookstoreとgoogle playブックス、楽天koboの3つ)
ひとつのタイトルを複数のストアで販売しているような場合、ほとんどのところがやってるように「タイトルがあってそこにストアが複数ぶら下がる」表示形式の方が当然わかりやすい…kindleで始まっちゃったもんだから、データの持ち方を間違えていてAmazonのasinをキーにしているので修正が面倒くさいということもあって放置してた。また、AWSのこともあってウチのサイトはあちこちにasinを使ってるはずなんだけど、5分前の自分はすでに他人なので、まるで覚えていない。
影響範囲が大きいので別ページで試してから徐々に修正していく(徐々にkindle以外にも並べるべく)
まずは 「EPUB3::かんたん電子書籍作成」 の右サイドのコンテナでお試し。データベースはいじらずにスクリプトに配列をベタベタ書いて作ってみた。
スクリプト自体は使い回しだし、目新しいこともなく簡単に出来たんだけど、ちょっと気になったのがレギュレーション。
ストアへリンクするのにロゴなど画像を使った方がキャッチーでわかりやすいのは間違いない。kindleの利用規約や商標利用に関するページや、App Storeマーケティグガイド系のPDFをざっとみて…よくわからなかったのでロゴ画像を使うのはやめた。
(といいつつ、App StoreのPDFはこんな使い方しちゃダメですよ、と画像つきでレギュレーション解説があってわかりやすかったです、はい)
サイトを辿ってみると、デザインに合わせてロゴを加工して使ってるところがあるなあ。
また(c)表示も GyaO https://gyao.yahoo.co.jp/ct/anime/ を見るとページの一番下にごちゃーっとひとくくり。昔から雑誌なんかでも見るやり方ではあるけど、本当なら作品の近くになきゃいけない、はず。
目立たないのでOKのケース、力関係でOKのケース。
ということで、小心者で善良な納税者のわたしは触らぬなんちゃらの日和見。うーん、我ながらデザインだせえ。
今回のperl小ネタ。配列を order by random。
(出典:https://www.din.or.jp/~ohzaki/perl.htm)
いつも参考にさせていただいている 「Perlメモ」 のまんま(ありがとうございます)
今さらながら配列のスライスでこんなことができる(for文の最後の行)なんて知らなかった。
[06/19 08:37:59] 追記。
この雑記帖の上に配置してみた。
・カテゴリ電子書籍一覧を表示している時
・ひとつの記事を表示している時
の2パターン。うるさかったら外そうと思ったけど意外に違和感もなかったのでアクセスの様子見してみる。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
メモ:MacでKindle本を読む
今日たまたま見つけたこちらの記事がすべて。
「MacやWindowsなどPCでKindle本を読む方法。Genymotion2対応」
https://www.karakaram.com/mac-kindle-genymotion
ウチのようなヨタ記事を読むヒマがあったら元記事を読みましょう。
ひとつひとつ順番にとても丁寧な解説。わたしはこのページの通りにやってMacにAndroid仮想マシンをインストール、google playストアからkindleアプリをダウロードして、Macでkindle本を読めるようになりました(ありがとうございます!)
以下は自分用のメモ
各種ダウンロードURL
仮想マシン環境
・ Genymotion Site – Downloads
・ Downloads – Oracle VM VirtualBox
google playストアを使うには以下を仮想マシンにD&D
・ ARM Translation Installer v1.1
・ Google Apps for Android 4.3
注意点
デバイスを選ぶ時にAndroid4.4だとうまくいかないことがあるので4.3に。
(選べるデバイスにはスマホなどずらっと並ぶ)
まず最初にNexusの設定で日本語環境すること。
Macの中でNexus7 2012 Android4.3が立ち上がる
google playのkindleアプリも問題なく使える
こちらはNexus4
こちらはSony XperiaZ
わが家はふたりともiPhoneなので、いわゆるスマホでの確認ができなったんだけど、これからはこれが使えるなあ。
[06/16 15:25:12] 追記。
非力なネットブック(WIN7)にもインストールしたところ、立ち上がるだけでうんうんうなったきり何もできず。ネットブックで使えれば、ネットブックとNexus7を両方持ち出さなくて済むんだけどねえ。
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» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
スマホで電子書籍を読む
先日、知人と電子書籍について雑談していて
「それってどうやって読むの?」「まだ普及してないでしょ」
という話も。
たぶん誰もがもっとも簡単でハードルが低いのは
「アプリをインストールすればスマホでも読めますよ」
ということだけど、いろいろあってわかりにくいので、スマホで電子書籍を読む方法について検索してみた(電子書籍のファイルはEPUB3ファイル。フリーなEPUBファイルを読む方法ということ)
わたしのスマホ(iPhone)のホーム画面。電子書籍を読むためのアプリ(ストアアプリ)がごちゃっと入ってる。どれがどれやら確かにわかりにくいよなあ。
【Android系スマホの場合】
・「google play ブックス」アプリで読む
読むまでの手順は4つ。
0) gmailなどgoogleのアカウントが必要
1)スマホにアプリをインストールする
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.google.android.apps.books
2)PCのブラウザで https://play.google.com/books を開く(「google play」→「書籍」→「マイブック」)
3)電子書籍ファイルをアップロードする
4) スマホでアプリを立ち上げてアップロードした電子書籍を読む
※ スマホで読むためにはPCのブラウザでgoogle playを開いてそこにファイルをアップロードする必要がある
【iPhoneの場合】
・ibooksで読む
読むまでの手順は2つ。
0) itunes storeのアカウントが必要
1) スマホにメールで電子書籍ファイルを添付する、またはダウンロードしてもらう
2) スマホのibooksで開いて電子書籍を読む
一年以上も前の自分の雑記を引用するのもアレな感じだけど。電子書籍、ダウンロード販売最大のポイントはココ↓
「Kindleストアで電子書籍は売れる?」
「ををっ!面白かったぜ」「この作家の他のも読みたいなあ」と読者は思ってくれました。でも、手元に本はないし、書店にいく手間は面倒、書店にいってもあるかどうかわからないし、amazonで頼むと明日に届くなあ、うーん、明日は朝から出てるし、まあ、いいか。
という機会損失を防げるのがダウンロード販売、電子書籍。
もちろん、なんだ電子書籍って、スマホなんかで読むのわからねえよ、ということも十分考えられるけど、少なくとも、ここでひとつ本を読者に届けるルートがあるんだから、kindleストアに電子書籍を並べておいて損はない。
ちなみに、kindle(Amazon)を外して「google play ブックス」と「ibooks」にしたのは。
面倒くさい事務手続き、登録作業なしに、自作EPUBファイルを手軽に無料頒布できるところをターゲットにしたから。まずはこのあたりから始めるのもいいかも知れない。
現状(今日時点)読者の手間を考えるとibooks一択。別途何かをインストールする必要もないしメールにファイル添付するだけ。Androidとiphoneでどっちがシェア取ってるのかはまた別の話、か(※ 想定している読者は未知の第三者ではなくて、既知の読者・友人知人)
「主なEPUBリーダー:電子書籍の情報をまとめてみる」
「EPUBファイルの開き方:電子書籍情報まとめノート」
↑こちらのサイトが網羅されていて一覧できる(参考にさせていただきました・感謝)
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