ブックオフの終了
今日、かなり久しぶりにブックオフを覗いた。
以前だったら買ってただろう本とその値段を見ても、これだったら作者へのお布施にもなるkindle(電子書籍)で買うよな、と思ってここで買う気が失せていた。
以前にも
「電子書籍の70%オフはブックオフ殺しか」https://t2aki.doncha.net/?id=1390885511
なんて雑記を書いたけど、今日あらためて実感。そもそもブックオフに行こうと思わなくなっていたから、今日「かなり久しぶり」となったということか。
なもんで、今日はコミックスをパラパラ立ち読みしただけ。
一般書店の場合、昔と違ってマンガはシュリンクされていることが多くて立ち読みできないので、ブックオフはマンガが立ち読みできる貴重な場所…て、それなら漫画喫茶に行けよという話かもしれんけど。
欲しい本の優先度に応じて
「一般書店で購入する」
↓
「図書館で借りる」
↓
「ブックオフで購入する」
という順番が
「一般書店で購入する」
↓
「図書館で借りる」or「電子書籍で購入する」
という順番に変わった。
それでもまだ古本でしか手に入らない本があるので、とっとと電子書籍化してください。
それに、昔の文庫本は文字が小さくてそろそろキツイというのがあったりなかったりで、電子書籍はその点らくちん。
とはいえ、今日ブックオフで見かけた本をウチに帰ってきてから買ったかと言うと買ってない。
すまん。
本を買うため・見るために本屋に入るわけで、ズラリと並ぶ本にワクワクとテンションが上がるのも当然。ウチに帰ってシャワーを浴びてメシを食って酒を飲んでパソコンに向かう頃には夢から覚めて、日常・現実に戻る。
まだkindleの中には読んでない本がたくさんあるし、今買わなくても後でいいや、となった。ここが電子書籍の(売る側にとっての)最大の課題だろう。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
知り合いが電子書籍で起業
ここんとこ単調な入力・登録作業にライスワークの事務仕事で疲弊していていろいろ停滞。バタンキュー(死語)な日が続いていて、自分にとって刺激も余裕もないので困ったもんだ。
とか思ってたら、2012年頃に仕事で少しつきあいのあった人から久しぶりに連絡があって雑談となった。
起業したと聞いて吃驚した。
会社登記のことや事務所のことなど興味深い話もありつつ、事業としては電子書籍の企画編集制作をメインにやっていくとのこと。
以前、電子書籍オリジナルの版元在籍の編集で、kindleもオープン直後から参入。雑学系や自己啓発、ビジネス書などでざっくり1タイトル1000単位で売れたものもあったらしい。もちろん彼の在籍していたトータルの期間、それでも一ヶ月で数百は動いていたことになる。文芸だとちょっとしたベストセラーの数字。これは羨ましい話だ。
(好調な売上は、おそらく大手版元が本格参入してストアのコンテンツが充実しだした2013年4月ぐらいまで、その後は厳しいんじゃないかと思ってるんだけど、実際の細かいところまでは聞かなかった)
その頃の実績もあるので、狙って作ればジャンルや企画内容、タイミング次第でやれるという感触は持っているとのこと。
売上だけを「算数」すると。
仮に定価300円としてKDPセレクト(kindle専売)でロイヤリティ70%の210円。1ヶ月100冊売れて21000円。
冊数を重ねて100タイトルもあれば単純に1ヶ月210万円…なんてこと言い出すといろいろアブナイ。でも、制作費を引いても他の仕事(紙の仕事など)と合わせて一人口ぐらいならなんとかなる算段・腹づもり。一発があるヤクザな世界でもあるし。
ひとりなので、どこまで手を広げるのか・どこまで絞るのかを見極めないと大変ですねえ、と。
タイトル数を1つでも多く1日でも早く積み重ねていくことが最優先。そのための企画、ネタの準備、各種手配だけでもやることはてんこ盛り。さらに、転がり出すと支払いなどの経理仕事、契約などの書類仕事も膨れる。
ぶっちゃけ、簡単じゃないと思うけど、それなりの資本金を用意して起業した行動力には感心した。
仕事が降ってくることをお願いしつつ。
[09/29 08:47:13]追記。
ぽつぽつと身の回りだけの観測範囲で。
こうやって電子書籍で起業、もしくは兼業、フリーランスというひとが増えてきたように見える。
2012年のいわゆる何度目かの電子書籍元年、金になりそうということでネット屋、アプリ屋などがドドドっと入ってきて、思ったより金にならないんでサササっと引いた鉱山に、小回りのきく・行動力のある個人が入ってきたという感じなのかな。
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コンテンツは誰が作るのか
根拠のないヨタ話ですまん。
「出版不況」は本当か?--書籍まわりのニュースは嘘が多すぎる
https://japan.cnet.com/sp/t_hayashi/35053097/
という記事がtwitterで流れてきたので読んでみた。
出版不況というその実態は紙の本のことで、「出版」という言葉に電子書籍も混ぜると実はそう悲観することではなく、ほかの業種と比べるとむしろ健闘しているのではないか。
ということを各種データとともにしっかり丁寧に説明されていて、なるほどなぁ、と読まされる記事だった。
10年以上も前になるか、底辺エロ本出版社で編集をしていた頃、返本率が高くなり取次で思うように部数を取ってもらえなくなりムカつきまくって、PDFの販売とか電子書籍でなんとかならんかと思ってたこともあって、この記事で指摘しているように電子書籍市場が膨らんでくれるのは、まさに待望・溜飲が下がる思いというヤツだ。
観測範囲のtwitterでもこの記事はほぼ賛同で占められていた。
でも浮かれてばかりもいられない。
この記事は市場についての話。電子書籍市場が膨らんでいるというけど、その肝心の電子書籍は紙の本が元にあるから成り立っている。
原本があるから電子書籍化できるのであって、ゼロから制作するとなると原稿、レイアウトデザイン、カメラ、校閲校正、ファイル制作など当然コストがかかる。そのコストを払えるのか。誰が払うのか。
(当時は諸悪の根源で悪夢にも出てきた取次だけど、紙の本は刷り部数でまずまとまった金になる。本作りのための資金になる)
今のところ電子書籍オリジナルでベストセラーもきかない。
原本がベストセラー、もしくは大部数のマンガ雑誌で連載、など紙が元になっているものばかりに見える。
紙を作る丼勘定に電子書籍化するコストも入れられるからやっと電子書籍が店頭に並ぶ、というのが現状=親の臑をかじってる状態。まだ自立してるとはいえないだろう。
紙の本が萎んでいってもその分電子書籍が補ってあまりある時代になる…て、コンテンツの供給元(紙の本)が枯れてしまったらどうするんだろうか。
コンテンツただ乗りが当たり前のバイラルメディアがどーたらなネットに期待するのも無理だろうしなあ。
[09/02 23:15:05]
噂でしか知らないけど。電子書籍の取次は軒並み赤字らしい。某社は黒字化を迫られて四苦八苦とのこと。
物流をやってるわけでもないのに、管理費だけで赤字になるって、それだけの売上ということだろう。こんな話もまだ独り立ちできてるとは言えないということだなぁ。
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夏コミ(C86)でもネットとの相乗効果
昨日はコミケ。
おつかれさまでした&お手にとっていただいてありがとうございました。
ウチの配置は風のとおりがあまりよくなくてずっと蒸し暑く体力を徐々に削られていく感じだったなあ。創作文芸同人誌は「売れない」と定評なんだけど、実際のところ、ありがたいことに、1冊も売れないとか参加費も出ないということはない。
今回のコミケでもあちこちで「Twitterでフォローさせてもらってます」という声が。
ウチも「フォローさせてもらってます」もそうだし「TwitterのRTで回ってきて見てぜひ欲しいと思ってたんです」といって来てくれた方がいて、ネットとの相乗効果=「いまどき」を実感。
今回のコミケに限らず、コミティアや文学フリマといった同人誌即売会で当たり前の会話当たり前の光景となっている。
電子書籍界隈と言っちゃうのはちょっと乱暴なのを重々承知で。
わたしの観測範囲はKDP、Kindleというかアマゾンありき。アマゾン依存。集客力販売力を考えると当然だし、戦力の集中は基本中の基本。いかにアマゾン、kindleに最適化するか、という議論(?)ばかりが目につく・目立つ。
(ぶっちゃけ、ウチもアマゾンが始めてなければ電子書籍を出したかどうか)
とはいえ、アマゾンは巨大な一小売業者、一企業。いつどんな都合・事情でベースとなる規約、ガイドラインが変わるとも限らない。最近も版元と取り分をめぐってドンパチ始めているし、まるっきり依存してしまうのは危険(それはSEOだなんだでgoogle依存する危険と同じこと)
電子書籍、データのダウンロード販売だ。ネットの中でポジションを取って告知周知宣伝することで販売数に直結する、というのも理解できる。
だけど、個人出版が、膨大な量の情報が飛び交うネットの海で、少しでも突出できるようなセルフプロデュースできるか、というと疑問。よっぽどのバックボーンや幸運、もしかすると炎上芸でもないと難しいだろう。
「ですから、シナジー効果が期待できるので、ぜひいかがですか」
なんていうと、ふた昔前あたりの営業マンのデタラメ口上と同じだけど、実際、ここ数年リアルの場とネットがいい塩梅で繋がってきてるように思う。肌感覚とかいうと最近のインチキ口上だけど。
ネットで見て聞いて気になって、即売会で買いにきてくれるというパターンは把握できる。即売会で見て読んで他のも読みたくてネットで購入・ダウンロードしてくれるというパターンは把握できない。でも、イベントのあった月は数えるほどとはいえ電子書籍も売れる・他の月とは売れ方が違うので、相乗効果が出ているんだろうと思う。
それは同人誌即売会に限らず、商業出版物が出たときも同じ。リアルでの展開がネット内での検索ボリュームに繋がり、販売に繋がる。
暴君でレッドオーシャンな場で疲弊してるヒマがあったら、リアルとの相乗効果を試してもいいように思う。
(そういや「facebook」はほとんど聞かないなあ)
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電子書籍と同一性の保持
その1
神保町の某社で電子書籍についての打ち合わせというか居合わせたというか。ここは電子書籍はまったく初めて。
DRMは難しい。
自前で配信サイトやDRMサーバーを用意する、なんてのは昭和が色濃く香る世界では当然無理。
電子書籍ストアで配信するにはEPUBがちょっと特殊で、対応しているアプリがiBooksかReadium、ほかは検証できていないけどたぶん難しい。
DRMフリーは権利者の許諾が得られない。
ということでソーシャルDRMはどうですかねえ、と提案。
購入者の情報(会員番号やメールアドレスなど)を電子書籍の書誌情報に記載するというところに落ち着きそうな感触。でも、奥付やタイトルのところ、見えるところにも記載した方が効果的ですよ、というのは難色。というのも「それは改変になるなあ」ということだった=改めて許可をもらう必要がある。
(その特殊なことを生かしてもうひとつ埋め込み場所があるのでそっちはやってみようということになった)
原本(底本)どおり、というのが基本にあるのでなるほどなあ、と。
その2
固定レイアウトの電子書籍の見開き調整のためのダミーページ挿入。
右綴じの本なら、奇数ページが左・偶数ページが右で、1ページめ=奇数ページ=左ページから始まる。なんてのは本では当たり前すぎる話。
ところが電子書籍は、見開きを原本どおりにするためには1ページめにダミーの右ページが必要なのだ(わたしが知らないだけで他にやり方があるかも知れないという一抹の不安も)
固定レイアウトの電子書籍のページをめくって開いていくと、1ページが右に配置され、2ページが左に配置される。「1ページ=奇数ページは左・2ページ=偶数ページは右」なのに逆になってしまって、原本どおりの正しい見開きにならない。
そこで、1ページの前にダミーで白紙のページを挿入することで見開きを調整する。ダミーページが右に配置、続く1ページは左に配置となって見開き問題は一件落着。
とはいえ問題というか違和感が出る。
本は必ず見開き単位で見るものなので問題はないけど、電子書籍は1ページずつ読むケースが多い(端末のボタンデザインなんかも縦長にちょうどいい)ので、ダミーページを表示すると白紙、真っ白の画面となってしまう。
読んでる側としてはアプリの不具合か、本が変なのかと思ってしまう、かもしれない。
白紙をダミーにするのではなくちょっとデザインされたロゴやキャッチーな画像を入れるとごまかせるなあ、と思ったんだけど、権利者に許可をもらう必要があるのでたぶん難しい、時間がかかるだろう、と。
原本(底本)どおり、というのが基本にあるのでなるほどなあ、と。
著作権、同一性の保持について
「著作物に手は加えられない?!(その2) - IT著作権.com」
https://gvalaw.jp/it-copyright/archives/1069.html
まず、裁判所は、20条2項4号の
「やむを得ないと認められる改変」
という文言を非常に厳格に解釈しています。
「良好な関係性で柔軟な契約」をしておけば、ガチガチと法的にこじれることもなさそうな感じ、かな。なにごとも、すべてそうだけど、法律は最後のところだし。
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紙にも電子にも使える元データ
InDesignのデータを預かってみて、現状まだInDesignが吐き出すEPUB3はそのまま使えないなあとしみじみ。
・position absolute
リフローで位置指定を入れてもなあ。いや気持ちはわかるけど(あれ?これってそもそもエラーになるような気がする)
・font-size:1.115em
小数点以下3桁指定してもなあ。見た目かわらんだろ。
・color:#000000
本来これは問題じゃないんだけど、kindleのクオリティチェックに引っかかる。
などなど微妙というか意味不明の指定が、CharOverrideやidGenPageitemといったInDesignがつけるクラスで指定されている。この手のスタイルを殺してまわって、Epubcheckでエラーのないことを確認、ibooksやkindle previewerで表示させてみて、原本と見比べてみて、見た目の違いすぎるところをそれっぽく見えるように新たにスタイルを指定していく。
また、fontも埋め込まれる。リーダーすべてが対応してればいいんだろうけど(権利関係も含めて)危険な匂いがするので外しておく。
今年の4月に『電子書籍で紙の再現は無理』https://t2aki.doncha.net/?id=1397210480
「InDesignの組版データをもらえばそのままEPUB3ができるんですよね」とふられて腰が抜ける。
なんてことを書いたばかり。
ひとつのタイトルを出版する形は、紙印刷だけではなく電子書籍もある。
以前、某セミナーで小学館の社長・相賀氏が話していたけど。
印刷用のデータはそのまま使えなくて電子書籍で出すにはそれようのデータを各々作る必要があってそこのコストが馬鹿にならない。印刷にも電子書籍にも回せる元のデータ管理が必要。
てのはまさにその通り(その一元管理を出版デジタル機構でやるという話の流れだったかな)
底辺エロ本出版社の頃。
発行した雑誌や本を会社でまとめて保存しているわけでもなく。編集部単位で保存、または担当が自宅で保存ぐらいなものだった。増刊などで合本(複数雑誌のグラビアの寄せ集めなど)を作る時は印刷会社に連絡して版、フィルムを手配…本の管理は外部、印刷会社まかせだった。
版元の認識として、本の元データは印刷データ(データというかフィルムだもんなあ)
時代がDTPになっても同じく、InDesignやクォークが元データでそれは印刷直結データ。
元データ=テキストデータということで管理されるようになればいろいろありがたいんだけどねえ。
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