ネットを見てるひまがあったら小説を読もう

台風が迫る日曜日。
朝から雨で今日はいちんち引きこもり。積ん読だった梨木香歩の『村田エフェンディ滞土録』を読んで、あちこち緩い初老は涙腺決壊する。
第二次大戦前。考古学でトルコに留学した日本人ムラタと、トルコ人、ドイツ人、ギリシャ人3人の交友録。異なる背景、文化なんだけど、それに接する村田の視線と距離がぶれなくていちいち腑に落ちる対応。『家守奇譚』に通じるすこし不思議な出来事を交えつつ、男子3人の各々のストーリーが村田と絡み合う。いやもうどいつもこいつも皆、優しい。
ネタバレになるので避けるけど、鸚鵡はいかん。
監督・脚本:バリー・レビンソン、音楽:デイブ・グルーシンで映画化すればきっとハマる。
んで、そんな話なので、異文化コミュニケーションなネタが満載で。
『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩
これほど「無為」ということに耐えられる心性は、その常軌を逸した太平楽は、私の理解の範疇を遥かに越えていた。それで私はこういうことには——国民性に関することには、善悪の判断を下さず、ただ驚きあきれるに留めおくことにしている。
文化というものは洋の東西を問わず、成熟し、また先鋭化してゆくと、言葉にその直接的な意味以上のものが付加され、土着のものにはそれを読み解く教育が、幼い頃から自然と施されてゆくものなのだろう。いわゆる「育ち」というものはそのことなのだろう。とすれば「育ちが違う」というのは、つまり、一つの言動を巡る解釈が違い、それに対する反応が違うということである。であるから、誰かの一言のその正確な狙いを知ろうと思えば、本来はその誰かの育ちまでを勘定に入れておかねばならぬということになる。しかし、それは決して完璧にはなされ得ぬ業である。
何度も何度もネットに溢れかえるレイヤーだフィルターだのコミュ障だのといったネタ・ドヤ顔・したり顔に食傷気味。それって何の根拠があって言ってるの、それじゃ説得力ないよねえ、ただの思いつき?とか。
『村田エフェンディ滞土録』に出てくる描写にいちいち激しく首肯。文化・背景の違い、育ちの違いをふまえて、さてどういう態度?ということの解答がここにある。
ネットでポジション取りに走るひまがあったら、梨木香歩を200回読むと良いよ。
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