media overlaysによる音声付き電子書籍の作成

とりあえず、音声付きの電子書籍を自力でもなんとか作りたいなあと思ったのでごそごそやってみた。
最大のハードルは音声ファイル。
いや、音声合成のアプリを購入すればそれで済むんだけど、落ち目甲斐性無しの初老フリーターにそんな余裕はなくて(お仕事お待ちしております!)この時点で諦めてた。
ところが検索したら、macのsayコマンドで読み上げさせる・音声ファイル(mp4やm4a)として書き出しまできるというのを見つけて俄然やる気になった。
サンプルは青空文庫『キリストのヨルカに召された少年』(何度もくどいけど、こいつは大傑作の掌編なので読むべし)
手順その1
音声合成するためのEPUB3ファイルの作成。
でんでんコンバーター を参考に、ウチのeasy_epubに、とりあえず本文を句読点ごとにspanタグでくるんでepubファイルの作成ができるオプションを追加。spanタグに通しのidも振るようにした。
これで本文の仕込みは完了。
手順その2
spanタグで区切られた単位の文章一行ずつのファイルを作る。
このファイルを読みこんでsayコマンドに渡して読み上げ用音声ファイル.m4aを作る。
mac スゲー!ていうかunixはスゲーです。
perlは便利…だけど、たぶんautomaterとかシェルスクリプトでもできる、ような気がする。お好みのツールで。
手順その3
音声同期ファイル(.smilファイル)を作る。
・本文に仕込んだspanタグのidをここの text srcに指定する
・音声ファイルと、その再生時間を記述する
・おのおののidはテキトーで良さそう(ほんまかの結果オーライ)
今回は「ひと区切りごとにひとつの音声ファイル」としたので「ClipBeginは0でClipEndは音声ファイルの再生時間」だけどひとつの音声ファイルでまかなう場合はClipBeginとClipEndの指定をしっかり計算する必要がある。
(でも、ここもmp4の情報を取得して足し算して、というだけ。perlなどのスクリプト言語で一括処理できるところなので、あまり難しく考えることもないかな。…あ、うそ。これだといちいちフレーズが何秒か調べなきゃいけないのでとても無理っぽい)
手順その4
音声ファイルと.smilファイルを、OEBPSフォルダの下、たとえば「multimedia」というフォルダを作って放り込む。
手順その5
EPUBのパッケージファイル、content.opfを編集する。
・metadata部
durationに再生時間を記述
読み上げと同期してハイライトさせるためのcssのクラス名を記述(cssには「-epub-media-overlay-active」というクラスを作っておく)
・manifest部
この本文にこの.smilファイルを適用します、というのを記述
.smilファイルや音声ファイルの定義、設定を記述
以上で完成。
media overlaysに対応した(Readiumなどの)リーディングシステムで読み上げできる。
昨日の雑記にも書いたように、読み上げを耳で聞きながら、ハイライト部分を目で追いながら。視覚・聴覚から入ってくる読書体験は刺激的だ。
macのユーザー補助の読み上げ音声を使ってるのでVoiceOverと同じじゃん、ということなんだけど。
手順その2で文章をひとつずつsayコマンドに渡して作るので「明らかな読み間違いはここで校正できる」のがmedia overlaysのポイントかな。
やっぱ、読み間違いは校正・修正したいのが人情ってやつだ。
てことで、校正もしていないそのままのepubファイルはこちら
ttp://t2aki.doncha.net/tmp/20150217_voice.epub
(↑ tmpフォルダは直リンクできないので、こちらからどうぞ)
[02/19 08:11:03] 追記
すみません。macの音声を入れて作ったEPUBファイルを公開するのは、使用許諾契約書を見ると「Appleソフトウェアが起動中である場合」に引っ掛かりそうなので取り下げておきます…。
F. ボイス 本契約の契約条件に従って、お客様は、Appleソフトウェアに含まれるシステムボイス(以下「システムボ イス」といいます)を、(i)Appleソフトウェアが起動中である場合、かつ(ii)お客様自身のオリジナルのコンテンツおよ びプロジェクトをお客様の個人的で、商用的でない利用のために作る場合に使用できます。
↓作成手順を動画にして、作成に使ったスクリプトを公開
『 動画で見る音声付き電子書籍の作り方』
↓実際に作った音声付き電子書籍一覧
『「眼聴耳視」音声付き電子書籍公開リスト』
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
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