身内仲間内ではないところ

kindleなどの電子書籍も、同人誌も同じ。身内仲間内じゃないところにどうやって広がって行くか。そこが難しい。
書評家の豊崎由美さん( @toyozakishatyou )などが発言していたと思う。
作家が作り上げた小説を読み込んで解釈し、作家にフィードバックして作家を刺激して、さらに作品は磨き上げられる。ひとつの作品が独り立ちして広く読まれるのは作家、編集、書評家の相乗作用があってこそ(超意訳)
どこにウエイトがあるのか、全面的に賛成ではないけど、作品が磨き上げられ広く読まれるために、身内仲間内ではない目利きの読み手が必要だというのは賛成。鉄板の正解だ。
今日時点の、わたしの観測範囲でしかないけど。電子書籍界隈は「書き手」の身内仲間内での盛り上がりで、書店で本を買って読むような「読者」には届いていないように見える。
作品に関する話題にしても「書き手」の他者の作品に対する感想・書評は、残念ながら馴れ合いにしか見えない。返り血を浴びるのを避けてしまうのではないか、と勘ぐってしまう・思ってしまう。
書き手と距離のある・書き手と対峙する読み手こそが必要だろう。
電子書籍はWEBと相性がいい・親和性が高いから読者獲得のためにWEBで展開する、というのはもっともらしいし正しいかもしれない。でも、それではしょせん身内仲間内の範囲にしか届いていないのでは。
twitterに限らずネットは自分が選択したものを見る場所で、自分にとって都合の良い空間。twitterだったら、フォローしているのは同じ属性になりがちだから、盛り上がって見えても、それってゲットーの中だけ。
めちゃくちゃ地味だけど、チラシを刷って地元の書店に持ち込んで頭を下げておいてもらって、日常的に本を買って読む読者の目に触れることを考える。コミティアやコミケなど一般参加者の多いイベントにサークル参加して本を作って並べることを考える。そっちの方が(身内仲間内ではないところの)読者獲得にはいいんじゃないか。
WEBで展開するにしても、自分の見ている範囲ではないところに広げることを考える。
kindleというかAmazonは、WEBサービスがあるので、放っておいても最低限どこかでひと目に触れることになるのが最大のメリット。
とはいえ、きっとそのうち何かの拍子に目にとまることもあるだろうというのは気の遠くなる話で焦る気持ちもわかるし、良いものを書いてれば認められるなんて牧歌的な話もいまどき信じられないし。
わたしは著者作家のコミュニティにはあまり興味がない。興味があるのは読者が集まっているコミュニティ(身内のことをいうと、著者作家のコミュニティは同人誌仲間で足りている。「なにこれ意味わかんないよ」「どうしてこのキャラこんなことしてんの」など血みどろの優しいやりとりがあるようだ)
読書会などを主催している読者グループがあるし、SF大会やミステリ大会などがある。そういったところに積極的にコミットして、貢献もして、協力も仰ぐ。
出版社が会社組織で広報宣伝するならともかく、個人出版だ。地盤看板カバンとは良く言ったもので、そのためのドブ板選挙活動。
先人の言う通り、先が見えなくても、小さなことからこつこつと、継続することが大事。という親戚のおっさんみたいな結論。
でもなあ、継続するのは大変なんだよなあ。そこんとここそ大事。
[05/12 08:36:25] 追記。
ウチの場合は軸足が同人誌即売会。10年以上、20年近くになるのかな。ありがたいことに「新刊ください」という一般参加者さんも少しずつ。また、即売会で個人出版ではない別ルートの電子書籍版元からお声かけいただいて、そちらと(微々たるものとはいえ)印税仕事にも繋がっている。
地道にちょっとずつ。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
Nexus7とほぼ4時間

青歯の外付けキーボードとNexus7
Nexus7でやることはひとつ。電子書籍kindleとEPUB3の表示・動作チェック。(あと、可能であれば修正や更新などのWEB周りの作業をやってみたい)
ほぼ4時間ほど触ってみた。インストールしたアプリは以下。
【電子書籍】 Kindle 紀伊國屋書店 Kinoppy for Android
電子書籍の表示や動作チェックのためにNexus7を買ったので、このふたつは必須。
【FTP】 AndFtp
FTPがあればサーバーからダウンロード、アップロードも可能。これでWEBの簡単な修正ならできる。
【Terminal】 Android Terminal Emulator
root化していないので、もしかすると使いにくい。コマンドラインでいろいろ試したいところ。
【WiFi】 au Wi-Fi接続ツール
auは1台だけWiFi端末を登録してauのWiFi網に繋ぐことができる。
このアプリをインストールしたらあっさりさっくり。auWiFiのステッカーが貼ってあるお店で簡単に繋がった(05/12)
マクドナルド・ルノアールなどyahoo mobilepoint、スタバと合わせてauWiFiも使えれば、外に持ち出してもほぼ不自由しない。
【SNS メッセンジャー】 Twitter Skype
どちらも必須(Skypeは最近使ってないけど)
【エディタ メモ帳】 Vim touch メモ帳
vimはスクリプトやHTMLなどの専用に。メモ帳はちょっとした書き物に。
【ユーティリティ】 アンチウイルスフリー - AntiVirus FREE Battery Mix (バッテリーミックス) DayWeekBar 日本語版 ES ファイルエクスプローラー
中ではファイルエクスプローラーがかなり使えそう。
【開発】 perl を使えれば面白いので http://code.google.com/p/android-scripting
うーん、今日時点、まだちゃんと動かせてない。
動きやタッチの反応など、思ってたより全然滑らかで反応が早い…って、比較対象がスマホのIS03。IS03はかなりイライラさせられてAndroidなんぞ使えんわ、と思ってたんだけど、Nexus7で評価一転。青歯のキーボードの打鍵にもしっかりついてくるし入力装置としてもこれならイケる。zaurusSL C860以来の面白いおとなのオモチャだ、これは。
使い勝手や追加したアプリなど、ここに追記していく、かも。
とはいえ、現状はヨメさんのパズドラ専用機状態=ゲーム機。仕事で表示検証の時ぐらいしか回ってこないので更新できるかどうかはちと疑問。
なにかオススメのアプリがあったら教えてください。主にユーティリティ類。
[05/11 17:35:23]
Chromeが、画面真っ白で何も表示しなくなった。ブラウザタイトルは表示されているのでデータは流れてきている。画面表示の問題。履歴を削除しても直らず。検索して調べたところ、google playに行ってChromeを「更新」すれば良いということで解決。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
CSSとperlの小ネタめも

電子書籍がらみ。HTMLとCSSでどうやって表示・表現すればいいんだろうと調べたことをメモしておこう。
【横書き】
1M(1メガバイトは)は、2の20乗バイト(220 = 1048576バイト)です。
この文字の右肩に小さくついてる「20」ってどうすんだ、画像にしてくれなきゃ無理だろ、と思わず担当者にメールしようとして思いとどまった。調べた。
右肩に小さくつけたい文字をspanタグで囲み、spanタグにスタイル指定
フォントサイズを小さくして、下側のpaddingを0にして、表示の基準ラインをトップにする
(padding-bottom は指定しなくて大丈夫っぽいけど…どうして指定してあったんだろう)
【縦書き】
縦中横をperlで一括処理する。
単純に、すべての半角アルファベットに縦中横のタグをつけるのは簡単な正規表現。
このあたりに → 『ルビのため perl unicode正規表現』
縦書きなのにやたら英単語が混じると、単語の長さによって縦中横になったりならなかったり、とても読みにくい。ということで、アルファベットの縦中横について
・アルファベット一文字は縦中横にする
・英単語は縦中横にしない
英単語をとりあえず別形式にエンコードして保護しておく。
「tab+アルファベットの10進数」
タブだったら原稿に混じり込む可能性は少ない。タブ+数字というのはまず出てこないだろう。
一文字のアルファベットに縦中横を定義したクラスを指定。
タブ+10進数にしておいたアルファベットの英単語を元に戻す
(上記、正規表現のところをいじれば、アルファベット2文字までは縦中横にする、3文字以上の単語はそのままにする、なんてことも出来る。でも、中途半端な設定は読みにくくなるだけ)
ていうか、そもそも、アルファベットの英単語や数字が入り乱れる「実用書」なんて縦書きである必要は感じない。底本が縦書きであっても、電書にする時には横書きで十分。縦書きの底本は全角半角アルファベットがその時々で別々。正直とても読みにくい。小説でもないのになんでまた縦書きにしたんだろう。謎だ。
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Nexus7 KindlePaperwhite iPhone

Nexus7 が今日届いた(Fedexって土日祝は配達がないと言う記述をみかけたけど、配達はクロネコヤマトだった)
請負仕事でのKindle本の表示検証用に買ったので、まずはAndroid版kindleをインストール。
写真がヘボすぎるけど、kindle paperwhite iphone5 nexus7
iPhone版Kindle
Andorid版Kindle
Kindle Paperwhite
約物の天付き規則というのか。Android版とPaperwhiteはカギカッコのアキがなくて、iPhone版は半角アキになってるっぽい。
こうして、アプリやデバイスでの妙な差を埋めるのに悶絶が始まるんだろうなあ。WEBでの悪夢が繰り返される。とほほ。
Nexus7自体は、まだほとんどいじってなくて、さらっと触った感じだと
・思ったより小さい
・思ったよりさくさく動く
・見た目のわりにちょっと重い
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電子書籍の動作・表示確認方法

請負仕事で電子書籍の制作。
前にも書いたように、現状ターゲットは。(1)Kindle (2)その他EPUB3。
どこの版元(?)も同じで、 1と2の間には超えられない壁があるらしく、まずkindleでの動作や表示確認となり、iBookstoreやKoboはepubcheckでエラーの出ないEPUB3ファイルであればOKという条件での納品パターンが主流になっている。
制作したEPUB3の動作・表示確認方法が悩ましい。
わたしはKindle Paperwhiteで確認、iPhoneに send-to-kindleでmobiファイルを送ってiPhone版kindleアプリで確認、さらに心配になったら、今スマホとしては使っていないIS03に send-to-kindleでmobiファイルを送ってAndroid版kindleアプリで確認をしている。
(iPhone版は販売されてみないとわからない、という制作者泣かせで実際は役に立たない)
某社のEPUB3制作をしていて、kindleで色の確認がうまくできなかった。
文字の一部の色をオレンジにして、その中の一部を黒い文字にする。
pタグにcolor:orangeを指定して、その中の span タグに color:#000000 にしたクラスを指定したところ、Paperwhiteだと意図通り、黒指定のところは黒文字になっていた(いや、Paperwhiteはグレースケールだからわからないんだけど、他の色との比較、デフォルトの黒い文字との比較で判断)
ところが、kindle Fire HDだとpタグのオレンジは効いても、その中のspanタグで黒を指定してもオレンジになっていた。
PaperwhiteとfireHDでも挙動が違うっぽい。
kindleのガイドラインでは、デバイスやアプリで背景色を変更して文字が読めないのはいけません、基本的に文字色はアプリ側にまかせて、制作側で指定するな、と。
実際、文字色をいちいちすべて黒に指定した電子書籍が配信停止されたという話をみる。
憶測だけど。color:#000000 は無視されるのかなぁ。
なもんで、Fire HDが必要?スマホの小さい画面じゃ確認にならないよね?…でも、Fire HDが売れてるという話は聞かないし、買ったところでKindle用にチューニングされていてそれしか使えない。この手のオモチャは使ってるひとが多い方が情報も多い(当たり前だ)
FireHDもAndroidだし、Android版kindleアプリだろうし、ほかのAndroidタブレットを探した方が良さそうだ。
スペック的には、googleのNexus7 16G WiFi版が手頃かなあ。でも用途としては表示チェックだけだし使い捨てっぽく安けりゃ安いほどいいし、などと考えて「中華パッド」で検索したらもう「わけわかめ」
Androidって種類が多いし画面のサイズや解像度がいろいろありすぎて朦朧とゲシュタルト崩壊。
もう少し検討してみよう。
[05/03 15:24:02] 追記。
…て、ほとんど検討もしないまま、Nexus7 をポチってしまった。連休明けには届くかな。
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【昭和懐古】編集者の仕事

1984年〜2004年まで20年、底辺エロ出版社で編集者として仕事をしていた。10年前の話。
「SMセレクト」というマニア雑誌からはじめてマンガ部門の立ち上げに関わり、その後漫画部門の編集長となってエラソにしていた。
グラビア雑誌と漫画は別モノ。
グラビア雑誌はカメラマンやモデルなどを編集者が現場監督しながら使って作り上げる工業。
漫画は漫画家とじっくりつき合って単行本を出すまで持って行く農業。
「SMセレクト」は、雑誌のつくり自体はグラビア、イラスト、小説、記事、漫画と総合雑誌。ここで撮影やレイアウト、原稿打ち合わせなどなど、たぶんすべてやったので、グラビア雑誌と漫画雑誌の違いについての実感は合っていると思う
漫画の場合、編集者の仕事は「新人のデビュー」
この一点。
同時に編集者としての快感も「新人のデビュー」につきる。
一ツ橋系某社の先輩と「新人賞募集のない雑誌なんて、みずから存在理由を否定してるよね」という話になって嬉しかった記憶がある。
「こんな絵じゃ売れないぞ」「話がなにもないじゃないか」などと上や営業からいちゃもんつけられてても、こいつイケると思った漫画家さんに雑誌掲載を依頼し続けて、初の単行本でちゃんと売れてくれたり、他社からぜひ連絡先を教えてくれという問い合わせがあったりすると、おれさまの勝ちだった。
こいつはイケるという判断。
20年の間に、ン十人の持ち込み・新人賞応募を見てきた。
例外なく最初に「どんな漫画が好きなの?」「どんな漫画が描きたいの?」という質問を投げた。
「漫画が描きたい」「こんな話を描きたい」「この先生のような漫画を描きたい」「自分はこれしかない」という持ち込みの新人は形になった。
「漫画家になりたいから」と言った新人はひとりも一冊の単行本にもならなかった。
「描きたい」と「なりたい」は似てるけど、まったく違っていた。
会社規模、会社事情というのがある。
しょせん底辺エロ出版社。忙しかった時は、ひとりの編集が雑誌を月に2冊、隔月で1冊、さらにコミックスを3〜5点。ひとりで30人ほどの作家さんを担当していた。
ネタは××、絵はこんな構図、キャラの髪型・眼や身体は、と売れてる雑誌を見て情報を仕入れて、今これが売れてるから参考にすれば、程度のサジェストはしてきたつもり。
でもそれだけ。
営業は当時業界トップだったP誌の作家名などを上げて「どうしてウチで頼まないんだ」と責めた。あほか、である。んなギャラ払えない。そのギャラを払ったら編集費がそれだけで終わってしまう。仮に同じギャラを払うことができたとしても、後追いで同じ雑誌をやったところで、販売ルートという土俵でも差がついている。無理してギャラ払って本を作ったら、セブンイレブンに並べられるんか、と。
なので、わたしはウチ独自の作家、作品を最優先で考えていた。売れセンのテンプレを頼むつもりはさらさらなかった。奇麗ごとではない。生き残るためだ。
原稿をお願いすることにしたら、その後は、彼らの「描きたい」「描いたものが売れて欲しい」という意識・欲求を信用した。
それこそ雑談重視。
(言葉を選ばずに言うと)コイツの趣味は?嗜好は?どこにあるんだろう、とベチャクチャ。ならこういう話に持って行けるしこういう作画になるだろうと、こちらの想像力が試され、相手を誘導する先を決めるのは雑談だった。
そもそも、わたしは30人ほどとつき合っているけど、彼らおのおの朝から晩まで、もしかすると寝てる間も、自分の作品について考えている。どうすれば面白くなるのか、売れるのか。
漫画の場合ペン先から原稿用紙まで5mmもない距離を必死で考えるのだ。
へらへら30人としゃべってる人間がかなうわけがない。なので、一度頼むと決めたら、信用した。
絵で売れる・話で売れる・キャラで売れるなど個々の話はまた別にある。でも、頼むかどうかを決めるのは、「なりたい」新人クンではなくて「描きたい」新人クンだったなあ。
当然、ここに書かれていることは、自分美化がはいる懐古話なので話半分でよろしくお願いしたい。だいたい、こんな悠長な話が通用しなくなったから、初老でフリーターになってるという事実。時代ってのもあります。
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