paypalを使って電子書籍のダウンロード販売
電子書籍元年が何度もきたおかげで、電子書籍(デジタルコンテンツ)のダウンロード販売がDRMもついてAmazonや楽天kobo、iBookstore、KADOKAWA☆BOOKWALKERに並べることができる時代となった。
また、電子書籍専門というわけではなく、デジタルコンテンツをダウンロード販売できるサイトも百花繚乱雨後筍で、コンテンツさえ用意できれば個人で簡単に販売ができる。
「デジタルコンテンツをダウンロード販売できるサイトを比較してみた」
https://writing-san.blog.jp/archives/32017213.html
また、ワードプレスにはダウンロード販売のためのプラグインまであって、販売チャンネルの選択肢はたくさんある。
「Easy Digital Downloads - ダウンロード販売サイトを簡単に作れるWordPressプラグイン」
https://netaone.com/wp/easy-digital-downloads/
集客力販売力、販売手数料や手間ひまを考えて自分に合うところにコンテンツを置けばいいし、そうすれば販売ページへのURLや購入ボタンをSNSや自分のサイトに貼りつけて告知できる。
ぶっちゃけ、わざわざ自分でダウンロード販売の仕組みとか作るのは時間と労力の無駄なのでオススメしない。
面白そうだ、という好奇心自己満足。それと、もしかすると、何らかの事情で他社サービスにコンテンツを置くわけにはいかないような場合に。
てことなので、以下はわたしの技術メモ。備忘録。
内容的には2010年の雑記とPayPalとのやり取りなどはほぼ同じ。
「paypalと電子書籍のダウンロード販売(その1)」
https://t2aki.doncha.net/?id=1277017233
「paypalと電子書籍のダウンロード販売(その2)」
https://t2aki.doncha.net/?id=1277130006
今回の雑記では自サバ側のこともメモしておく。
【じぶんちでの設定】
コンテンツをサーバーの所定のフォルダにアップロード。
サーバーのデータベースにコンテンツの商品登録。ここで商品にIDを付ける。
以下3つのスクリプトを用意
・ご購入ありがとうございますページのスクリプト
・IPN受信&データベース登録用のスクリプト
・ダウンロード用スクリプト
【PayPalでの購入ボタン作成・各種設定】
「トップ」→「販売ツール」のメニューにある「売り手の設定」から
→「PayPalボタン」
[今すぐ購入]サンプルボタンあたりを雛形に「ボタンの編集」で商品名や値段などを入れる。ここではオプションの商品ID(=データベースで決められたID)を入れるのを忘れずに。
ボタンを作ったら「コードをコピー」して自分のサイトの購入ボタンを設置したいところにコードをペーストする。
→「ウェブサイトの設定」(ウェブペイメントの設定)
・ウェブペイメントの自動復帰「オン」
・復帰URL:ご購入ありがとうございますページのURLを記入
・支払いデータ転送「オン」※IDトークンをコピーしておく
・暗号化されていないウェブペイメントの受領拒否「オフ」
・PayPalアカウントオプションサービス「オン」
・連絡先電話番号「オフ」
・エクスプレスチェックアウトの設定「いいえ」
→「即時支払い通知」(IPN)
・通知URL:IPNを受信するスクリプトのURL
・メッセージの配布:有効
→「PayPalボタンの言語コード化」
・「詳細オプション」→「UTF-8」
【PayPalとのやりとり】
ユーザーの動きは以下の3つ。
1)ユーザーがオレオレサーバーの購入ボタンをクリックすると
2)PayPalの決済ページに飛んでそこでお支払い
3)お支払いが終わるとオレオレサーバーの購入ありがとうございましたページに戻ってくる。
ユーザーのお支払い終了と同時にPayPalからオレオレサーバーに購入データが飛んでくる。
購入データは以下の2種類。
データを取得して解析するためのサンプルコードがPayPalに用意されていて、そのまんま利用させてもらう。
3)PDT(Payment Data Transfer)
図では赤い矢印がひとつだけど、データのやりとりの実際は。
→PayPalからオレオレサーバーへ
・ユーザーが購入ありがとうございますページにリダイレクトされてくる時に、トランザクションを持ってアクセスしてくる
→オレオレサーバーからPayPalへ
・トランザクションと管理ページの「支払いデータ転送」の項目に記載されているIDトークン、コマンドをPOSTでPayPalにリクエスト
→PayPalからオレオレサーバーへ
・POSTした内容が正しければ一行目に「SUCCESS」と書かれたデータを返してくる
このPDTデータは
SUCCESS
first_nameJane+Doe
lst_name=Smith
payment_status=Completed
など、1行にひとつ「ネーム=バリュー」形式、NVP形式のデータとなっている。
※ユーザーが支払いを終えて待たずにすぐブラウザを落としたりするとデータ取得できない。購入ありがとうございますページにリダイレクトされてやってきて初めてデータのやり取りが生じる。
PDTデータ取得&解析のサブルーチン
※HTMLデコードと文字コードをutf8にしているところ以外はサンプルコードのまんま。
PDTデータのpayer_emailやitem_nameなどを「ご購入ありがとうございます」ページの「~様」や「~をご購入いただきありがとうございました」などの個別の表示に使う。
PDTデータのitem_number(商品ID)でダウンロード商品なのか、別の商品なのかを判定して、ダウンロード商品の場合はダウンロードURLを表示する。ダウンロードURLはユーザーのemailやtransactionidなど一意のものから作成している。
4)IPN(Instant Payment Notification)
ユーザーから見える言わば表側のPDTと違って、こちらは裏側。
ユーザーがお支払いを終えると管理ページで指定したURLにデータが飛んでくるので取りこぼしがない。
PDTはユーザーに見せるご購入ありがとうございますページに使う程度で、オレオレサーバーのデータベースに購入の記録を残すためにはこちら、IPNを使う。
図では赤い矢印がひとつだけど、データのやりとりの実際は。
→PayPalからオレオレサーバーへ
・購入データが送られてくる。いわゆるWEBのフォームデータで「&」で繋がれた「ネーム=バリュー」形式
→オレオレサーバーからPayPalへ
・送られてきた購入データにコマンドをひとつつけてPayPalにPOSTする
→PayPalからオレオレサーバーへ
・「VERIFIED」か「INVALID」か一行返ってくる。これ以外は調べる必要があるらしいが滅多になさそうだし、PayPalの管理画面で確認すれば良い。
IPNデータ取得&解析のサブルーチン
エラーはIPNのデータをつけてメールするように。
VIRIFIED(データが正しい)場合でも以下の4点を確認する。
・支払いのステータス「payment_status」が完了「Completed」であることを確認
・すでに完了した取引の悪用防止のために「txn_id」が過去のものと重複していないことを確認
・不正アカウントに支払いされないように「receiver_email」がPayPalアカウントに登録したメールアドレスであることを確認
・価格が変更されていないか確認(商品IDなども)
確認できたらオレオレサーバーのデータベースに必要情報を登録して、ユーザーにお礼とダウンロードURLを書いたメールを送信する(自分にも同じものを送信)
※データ確認の部分やメールの部分以外はサンプルコードのまんま。
【ダウンロードについて】
ダウンロードはダウンロード用のスクリプトがファイルを返すようにしてある。
たとえば、わたしが自分だけで作ったコンテンツなんかはどうでもいいんだけど、表紙が依頼原稿だったり、アンソロジーでほかの人の原稿が入っていたりするとそうもいかない。回数や期間を無制限にするわけにはいかない。
なので、ファイルの置き場所=URLをそのままユーザーにお知らせできない。
ダウンロード用のスクリプトを噛ませて
・ダウンロードのURLは購入者ごとに違うものを作る
・ダウンロード回数を制御する
・ダウンロード期間を制御する
といったことを仕込んだ。
また、ダウンロードごとにIPやUserAgentを記録すれば、不正なアクセスやダウンロードできない事故などの問題解決にも役立つ。
以前の雑記にも書いたように、PayPalは管理ページに記録が残ってるし取引が生じたらいちいちメールも飛んでくるので、致命的な問題にはならないはず。サポートもびっくりするというか恐縮するぐらいに厚い。
残念なことに(法律的に?)日本では単純にクレジットカードだけで支払いはできなくなった(ペイパルへのアカウント・会員登録が必須となった)けど、個人での少額決済に手軽に使えるので助かるなあ。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
paypal と 電子書籍のダウンロード販売(その2)
その0.
購入ボタンはこんな感じ
item_number以外は必須。item_numberも、商品IDとして使うので、わたしの場合は必須。ユーザーがPaypalから戻ってきたとき・Paypalから即時通知があったときに、この商品IDでデータベースに照合する。
あらかじめ、Paypalで個人設定を仕込む。(以下とは別に、文字コードを日本語、UTF8に設定しておいた)
その1.
「ウェブペイメントの設定」
→自動復帰 オン
→復帰URL ユーザーが帰ってくるURLを設定
→支払いデータ転送(PDT) オン
→暗号化されていないウェブペイメントの受領拒否 オフ
購入ボタン自動生成で暗号化してないので、最後の設定はオフにしておく。
購入ボタンをクリックしてPaypalにいったユーザーが支払いを完了して「マーチャントに戻る」リンクをクリックしたら、復帰URLにパラメータを持って戻ってくる。それをスクリプトで解析する。以下はほぼほぼPaypalにあるサンプルコード(perl版)まんま。
戻ってきたら、GET でパラメータ=トランザクションIDを取得して、Paypalの管理ページ、個人設定にある、auth tokenと、定型のコマンドとともに、PaypalのサーバーにPOSTでアクセス。
そこで取得できるcontentを改行でばらして一行ずつ、って先頭の行がSUCCESSであればOK。それ以外だと決済が完了していないので、どうなってるのか調べる必要がある。
というのが「PDT」というヤツ。
ところが、これはユーザーが「マーチャントに戻る」というリンクで戻ってくれないと、情報が何も取得できない。もちろん、Paypalの方からメールがくるし、Paypalの管理画面を見れば、取引状況はわかるので、調べてユーザーに返事を出すこともできる。
でも、今回やりたいのはダウンロード販売。
支払いが終わったらすぐにダウンロードページに行きたいよね…といいつつ、Paypalの「マーチャントに戻る」リンクがまるで目立たない。これじゃ、ユーザーはここでブラウザを閉じて終了、だろう。現に戻ってくる率は20%もない、という記事もどこかで見かけた。なので、こちらは、もしユーザーが戻ってきたら、ありがとうございましたとか、確認にしばらくお時間くださいとか、表示を選択するためのモノとして使う程度。
そこで、以下のIPN(支払い即時通知)の出番。
その2.
「即時支払い通知(IPN)」
→通知URLを設定
支払いが生じたらPaypalから、通知URLあてに、パラメータを抱えてアクセスがある。それをスクリプトで解析。以下はサンプルコード(以下同文)
POSTされたパラメータをそのままに、コマンドを付加して、Papalに返すと、パラメータが正しいか間違ってるかだけ教えてくれる。パラメータが正しければ、料金を確認したり、トランザクションIDをチェックしたり。エラーがあったら、ログを吐き出し、正しければデータベースに登録してユーザーにダウンロードURL案内のメールを出す。
わたしはperlが少しわかる程度。それでもサンプルコードどおりに書けばほぼOK。ダウンロード販売ということで、データを受けてデータベースを使って商品を特定したり、ダウンロードURLを作ったり、というところがちょっと面倒だけど、難しいもんじゃない。
最悪、うまくいかないケースが生じても、Paypalからメールが来るし、Paypalの管理ページに行けば履歴を確認したりキャンセル処理ができるので致命的なことにはならない、はず。
それに、ダウンロード販売なので、面倒な在庫管理は不要。
ちなみに、無責任なことに、これを書いてる時点ではまだ本番でのテストはやってないので、あしからずご了承いただきたく。忘れないうちに自分メモ。
原稿があるなら、Paypalを使って、ダウンロード販売ですよ。たぶん、儲けるのは無理だけど、原稿を塩漬けにしてるぐらいなら、ネットに並べておいてもいいんじゃね、と。個人書店があちこちにできて相互にリンクできれば宣伝にもなって面白いんだろうから、お手伝いしますよー。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」
paypal と 電子書籍のダウンロード販売(その1)
小説や漫画など、電子書籍を作るのは簡単。問題はどうやってそれを売るのか。
「ホームページに並べて・購入してもらって・ダウンロードしてもらう」
というのをどうすんだよ、てことで調べてみたメモ。
(ちなみに、作った電子書籍はDRMなしのPDFファイル)
結論から言うと。
Paypal のプレミア(以上の)アカウントを作れば、個人でも簡単にクレジットカードを使った小額決済ができて、ちょっと仕組みを作ればダウンロード販売までできる。
Paypalのアカウントは固定費不要。クレジットカード決済に審査も不要。一度の決済手数料は40円+3.8%~。驚く手軽さ気軽さだ。
ショップとユーザーの流れ
ショップを訪れたユーザーがページにつけられたPaypalの購入ボタンをクリックすると、Paypalの支払いページに飛ばされて、そこで支払い手続きとなる。クレジットカード番号やメールアドレスなどをPaypalに対して入力することとなる。Paypalの支払い完了ページに、「マーチャントに戻る」というわけのわからないリンクが目立たないようあるけど、これをクリックすると、ユーザーはショップに戻される。戻ってきたユーザーは、ショップが用意した「ご購入ありがとうございました」ページなどを見る。
こちらでユーザーを誘導する。
ショップの裏方(たとえばデータベース)とPaypalの流れ
それとはまた別に、Paypalは支払いが生じたら、ショップにお知らせしてくるので、それを元に、ショップはデータベースに登録したり、ユーザーにお知らせメールを発送したりする。
こちらでショップとして売買の確定をする。
上記のやりとりで、なにか不明点があっても、Paypalの管理ページを開いてみれば全部わかるので、後でチェックして対応することも簡単にできる。
Paypalとのデータのやりとりでは
「誰が何を買ったのか」
だけがわかればOK。というかPaypalの役割はここまで。
ダウンロードURLを作って、そこでダウンロードできるようにするのは、ショップ側で作ることになる。
PDTとかIPNのサンプルコードなどの具体例は、以下次号、かな。
# ページは、あとは、本番でのチェックと原稿の校正だけ、となった。
# 七月にはオープン予定で。
» ローカル環境で電子書籍を作る、Macアプリ・Windows版ツール 「かんたんEPUB3作成easy_epub」