ひまつぶし雑記帖

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今年は電子書籍の成功例が欲しいところ

2014/1/5 [21:06:36] (日) 天気

ダウンロード販売の強みは「いつでも、すぐに、その場で手に入る」
これは裏返せば「今、買う必要はない」ということでもある。

この手の話はあちこちで100年前から言われてることで、何を今さら感でもあるんだけど、電子書籍が始まったのは去年からなので、古い酒を新しい革袋に入れてみよう(あれ?たとえが違うっぽいか)

底辺エロ出版社を辞めた後、5年ほど動画配信サイト(ダウンロード販売)にいたので、ダウンロード販売とその商品の売上傾向については多少知っているつもり。守秘義務があるのでぼかすけど、当時はアニメやアダルト、ドキュメンタリー、映画など、一日4桁の中の上あたりの本数を売っていた。また、大手ECサイトや伝統のあるアニメ会社や、海外大手のドキュメンタリー会社のバックヤードもやっていた。

セール(安売り)をすればその期間は売れる。価格が下がってもアクセスやダウンロード本数が伸びて、金額的にはいつも以上の売上だし、新規会員獲得にも繋がっていた。
「安くなっている今のうちに、買う」のは、小売りの特売やタイムセールと同じ衝動・モチベーション。「今、買う必要がある」のだ。

セール以外の仕掛けはなかなか難しかった。
・特定レーベルを売り出そうと、取材して特集ページを作って、そのページへの動線をサイトのあちこちに入れてサイト内露出をはかって、先方にもリンクをお願いして、とやったものの、該当レーベル作品の売上は本数、金額ともにせいぜいそれまでの1割増ぐらいのイメージ。
・毎月何日は***の日と特集ページを作ってみた。小売りの「毎月2のつく日はニャンニャンの日でペット用品が2割引」と同じ。リピーターを増やす、行動を学習してもらって他の商品もついで買いを誘いたい、という意図。メルマガとの2段構えで仕掛けてみたんだけどコンテンツホルダーと交渉にならず、肝心の「2割引」ができなかったので効果はなかった。2割引がなくても、動機づけになってくれれば、とちょっと甘かった。
どちらも「今である必要はなかった」ということ。

・新作映画が公開、テレビで新シリーズが放映開始などというリアルでの展開があった時は、ゼロが1になった。事前に情報をもらっていて特集ページ(ランディングページ)などをきちんと用意できていたら、その1が10になるぐらいのインパクトはあった。新作でなくても正月だとかお盆だとか、テレビで特集が組まれるようなものがあったら、それに関連した商品・作品の売上は金額も本数も伸びた。
「まさに今、みたい」ということ。


電子書籍もセール(安売り)すれば売れるだろうけど、ソレジャナイ、よね。
電子書籍の場合、リアル側の動きとしては紙の書籍が全国の書店にて絶賛発売中。実際、横山秀夫の『64』などリアルでベストセラー本は(電子書籍99円投げ売り価格ではないにも関わらず)電子書籍でも売れている。上記した動画と同じように、リアル側での動きがネットにやってくる。

電子書籍の面白いところは。
書店が減っていて全体の売上も落ちている構造不況まっただ中だ(「出版・読書メモランダム」の出版状況クロニクルがとても参考になるので興味のかたは必読 https://d.hatena.ne.jp/OdaMitsuo/ )出版社は名もない新人の作品を出す冒険も難しい。電子書籍で売れてるっぽい作者作品を見つけてそれを紙書籍として取次経由の流通に流すという絵(ネット→リアル)は、他の業界よりハードルが低くて、今後増えてくるだろう。
(別の話になるけどコミケなどの同人誌即売会で売れている=部数がある程度計算できるサークル、作家を出版社がスカウトするような感じ。実際、昔は名刺を配って回った)

すでに、電子から紙へは「早川書房」藤井太洋 『Gene Mapper』 や、「主婦の友社」梅原涼 『お前たちの中に鬼がいる』 があって、「東京創元社」十市社 『ゴースト≠ノイズ(リダクション)』 がある(わたしの観測範囲)
記事によると定価2000円弱のハードカバーが000部ほど売れたというのは新人としては凄いことだと思う。
1/10追記 【お詫び】この部分、勘違い・思い込みしたまま未確認の情報です。関係するかたすべてに、ご迷惑をおかけしたことを深く反省、お詫び申し上げます。

ただ、この現状では、ネット→リアル止まりで、これがゴールだと困る。この先、リアル→ネットに還元した動きが欲しいところ。
そのための成功例があればなあと思っていて、上記の3冊、3人の次の作品、継続して発表される作品に期待。ネット内で盛り上げるならまずここ。Amazonやibookstoreなどが紙書籍発売と同時にその作品・作者の電子書籍をピックアップして積極的に紹介、売るようになれば面白い。それがひとつのステータス・権威になる。
紙書籍の発売が、電子書籍を「まさに今、読みたい」と思わせるイベントになる、かもしれない。


なんてことをぼーっとまとまりもなく。
去年は電子書籍が始まってまだ1年の手探り。今年も変わらず厳しいとは思うけど、売れる売れないとか商売の話じゃなくて、小説、コンテンツの中身の話で盛り上がって欲しい。そっちが本当だと思う。…ってダラダラ書いた上記のうわごとを無視して〆にしよう。

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ところてんx5

2024/4/20 13:29

役に立つからとか身を助けるからとか、んな理由じゃなくて、面白いからとか好きだからで、寝食忘れて何かに没頭する時期があるかないかで、何かの分かれ目になると思う

2024/4/20 13:06

シンボリルドルフ当時。パソコン仕事でまったく関係ないし、ただのオモチャ。
なんで役に立たないことやってんの、だったもんなあ

2024/4/20 13:04

何度も同じことを言う老人特権。
ほんと、馬券、競馬から入ってパソコン使うようになったおかげで、この歳になっても小銭稼ぎできるんだから、何が幸いするかわからんものだ

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